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ちょっと前に話題になっていた『「育休世代」のジレンマ』を読みました。

本書で言う「育休世代」とは、2001年の育児・介護休業法改正を受けて育児休暇制度が普及した以降に企業に入社した世代のことで、具体的には1978年以降に生まれた世代です。本書では、その育休世代のうち総合職で入社後に出産を経験した15人の女性を対象に、インタビュー調査を行った結果を示し、分析を行っています。

15人の女性たちを育休後の進路によって、退職または転職した「退職グループ」、今後退職または転職を検討している「予備軍グループ」、同一企業に継続して就業している「継続グループ」に分類し、生育環境(親や学校)や職場環境、育児資源環境(夫や親)など様々な観点で、詳細に傾向分析しています。

特に興味深かったのは、女性たちの思考傾向から「マッチョ志向」「WLB(Work Life Balance)志向」「伝統志向」「対等志向」に分類している箇所でした。職場と家庭を夫とどう分担するかという意識の中で、「マッチョ志向」は夫は変わらなくてもよく自分が男性並みに頑張る人、「WLB志向」は夫も自分も同じように降りる人、「伝統志向」は自分だけが降りる人、「対等志向」は夫が自分に合わせて降りて欲しい人と言えるます。こうした思考傾向に対して職場環境や育児資源環境が影響して最終的な育休後の進路に影響を与えているのではないかという仮説です。

こうした思考傾向によって同じ職場環境であっても育休復帰後の進路が変動するということは興味深い話だと思います。逆に言えば、企業側は各個人の家庭環境だけに配慮していては最適な育休後の職場環境を用意することはできないということを表していると思います。

本書でも自ら指摘するように、本書で対象とした集団は高学歴で総合職入社し若いうちに結婚出産している、かなりの勝ち組女性に限定されています。入社時に育休が整備されてなかった少し上の世代とか、当初から非正規だったり晩婚だったりするいわゆる負け犬女性とかには踏み込めていません。とは言っても一部の層の女性たちの本音が詳細に見られるという点では貴重な資料だと思いました。特に、自分の周囲にいる女性も高学歴高収入な場合が多いので、大変興味深い内容でした。

結論としては、結局理想的な育休制度とは何なのか余計にわからなくなっただけなのですが、むしろ誰にでも妥当する理想的な育休制度など当面は作り上げることはできないのであろう、という他人事のような諦観しか沸いてきませんでした。ほんと難しいですね。

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