スポンサードリンク

書店の売れ筋コーナーにピックアップされていたのでタイトル買いしました。『「育休世代」のジレンマ』と併せてお会計したんですが店員さんにどういう人間だと思われたのか不安です。

本書は性風俗の中でも激安店、妊婦・母乳専門店、熟女専門店など風変わりな店を対象にして、風俗嬢や経営者の実態を取材したルポルタージュです。地雷専門店「デッドボール」のことは聞いたこともあるのですが、妊婦・母乳専門店というジャンルが存在することは初耳でしたので、興味深く読みました。

従来、店舗型営業が主流であった性風俗は、2004年頃に警察等の繁華街浄化作戦で壊滅し、無店舗型営業に移行します。その結果、店や嬢についていた常連客は離れていき、嬢の属性をアピールする広告で一見客を集めることが経営の要諦となりました。そうして生まれたのが、一般受けしないけれど他の店では出会えないような、熟女や妊婦といった属性の専門店というわけです。

最終章では風俗がセーフティネットとなっている現状も触れられています。この視点は『再貧困女子』(鈴木大介著)の中でも取り上げられていました。風俗嬢はいわゆる昼間の世界で多くの問題を抱えて夜の世界に入っていく場合が多く、体一つあれば働くことができる性風俗がある種のセーフティネットになっているという話です。

本書では風俗の待機部屋で弁護士を交えて行った生活相談の様子が紹介されています。貧困問題は困っている人が自ら助けを求めないと補足することが難しいわけで、そういう人が集まりやすい職場に出向いて支援を行うという動きは好ましいものだと思います。一方で、このような取り組みには風俗店の経営者の協力が不可欠ですが、風俗店の経営にとって嬢を集めることが第一歩になり、せっかく集めた嬢が生活が安定して抜けてしまうのも痛手なわけですから、推進のためのハードルはなかなか高そうだという印象を持ちました。本書では良心的な経営者が多く紹介されていましたけれど、そういう経営者ばかりではないでしょうから。

風俗業の存在自体を忌避する人も多いし自己責任の範疇で切り捨てる風潮もありますが、貧困問題と性風俗とは切り離して考えては手落ちになるという考え方は完全に同意します。マスメディア等ではなかなか大きく報道することは難しいとは思いますけれど、こうした問題はもっと広く知られて少しでも救われる人が多くなるといいと思います。

LINEで送る
Pocket