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毎日新宿駅を利用する一市民として興味深く読みました。

私は生まれも育ちも埼玉県ですが、新宿という街には縁があります。子どもの頃、親に連れられて映画を観に来るのはいつも歌舞伎町でした。大学は早稲田大学で早慶戦の後は歌舞伎町で飲むのが慣例でした。就職してからは京王線沿線に住み、新宿駅を経由して都心へ通勤するようになりました。5年前からは新宿の職場で働いています。登山を始めてからは新宿発の特急あずさやムーンライト信州にお世話になっています。

本書は、一級建築士の田村圭介氏とゲームクリエイターの上原大介氏の共著です。上原大介氏は話題になったスマホゲーム『新宿ダンジョン』の開発者です。


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田村氏による新宿駅の構造や発展の歴史と、上原氏による新宿ダンジョン』の開発の回想録が交互に綴られていく面白い構成になっています。より詳しく言うと、沖縄県在住の上原氏が新宿のマップを完成させるために新宿の地下街を試行錯誤しながら歩く様子を語り、田村氏がその区域にまつわる小話を織り交ぜていくスタイルになります。人によって好みはあるかもしれませんが、私は飽きが来なくて読み易い構成だと思いました。

本書には新宿駅に関する小ネタがちりばめているわけですが、個人的に面白かったのは角筈(つのはず)ガードの成り立ちでした。

 新宿通りとルミネエストの間の広場に立ち、ルミネエストに向かって右側を見たとき、そこにはかつて大きな映画のポスターが並んでいたのをご存じだろうか。
 その下に手を上げれば天井に手が届くほど天高が低く、通路幅も狭い抜け道(トンネル)がある。それが角筈ガードだ。

出典:第四章 新宿駅の東西を繋ぐ七つの抜け道(pp. 112-113)

 ここにはかつて青梅街道がまっすぐ通っていて、いまから130年ほど前、そこを鉄道が横切るようになり踏切ができた。しかし鉄道の交通量が増えるととても踏切では対応できなくなり、踏切は歩道橋になり、やがてトンネルに変わった。これが現在の角筈ガードだ。

出典:第四章 新宿駅の東西を繋ぐ七つの抜け道(p. 114)

角筈ガードは地上を通って新宿の東口から西口へ抜ける裏道みたいな存在です。新宿の地下道は常に混んでいるので、筈ガードを通って西口へ抜けるルートを知っているかどうかで新宿を歩く快適さに格段の差ができます。

しかし、現在は人がすれ違うのがやっとのような狭いトンネルが古来からある青梅街道の一部だったというのは知りませんでした。現在では靖国通りから大ガードを通って高層ビル群を抜ける片側3車線の大動脈が、一世紀前にはこんな貧弱な通路だったとは驚きです。歴史のダイナミズムを感じました。

本書の最終章では、今後の新宿駅の工事計画についても触れられています。噂レベルのものも多いですが、びっくりするような計画もありました。以下、箇条書きにて。

・新宿駅東西自由通路(2020年完成予定)
 東口と西口を繋ぐJR駅構内の通路を拡幅して改札を通らずに通り抜けできるようにする。
・東口のサブナードと西口のタイムズアベニューが大ガードの下で接続
・西口の小田急百貨店と京王百貨店の建て替え
・東口のルミネエストビル(旧マイシティ)の建て替え
 建て替え時に西武新宿線を延伸して新宿駅東口へ引き込む。

個人的には、西武線沿線住民としては、やはり西武新宿線の延伸はぜひ成し遂げて欲しいところです。ほとんど著者の妄想レベルの記載でしたから具体的な計画はないと思いますが、誰か偉い人はがんばってください。陰ながら応援します。

ということで、本書にはタイトルの答えははっきり書いてないのですが、多少でも新宿駅を知っている人であれば楽しく読めるのではないかと思いました。

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