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最近、山本直樹さんの『レッド』から連合赤軍の一連の事件に興味を持ちまして、『連合赤軍物語 紅炎 (プロミネンス)』という本を読んでいます。赤軍派の誕生からあさま山荘までを物語仕立てで綴っていて引き込まれる良書です。

全体の感想はすべて読み終わってから書きますが、その前に本書の中に出てくる「郵便番号自動読取機導入反対闘争」なる単語にとても興味を引かれた話をしたいと思います。

郵便番号自動読取機導入反対闘争とは、赤軍派に所属することになる大学生たちが新宿郵便局に郵便番号自動読取機が搬入されたことに抗議して結果的に機動隊と衝突したという物騒な事件です。時代背景を知らない私には、一読しただけでは意味がわかりませんでした。安保反対の運動をしていた大学生が郵便局への機械導入に反対して暴れる道理がありません。

どうやら「郵便番号自動読取機導入反対闘争」はいわゆる反合理化闘争の一種で、全逓信労働組合が主導して郵便局が郵便番号制度を導入することを阻止しようとした運動の一つだそうです。要するに、便利な機械が導入されることで人手が不要になり、雇用を維持することができなくなる、という論理で、郵便業務の合理化に抵抗したとのこと。で、反安保で労働組合と共闘していた学生たちがこれに乗っかって暴動を起こしたという話のようです(参考)。

この手の合理化反対闘争としては、国鉄職員が自動改札機や乗り越し精算機の導入に反対した運動もあったようです。

私は知的財産に関する仕事を生業としていますので、技術革新による経営合理化は積極的に推進すべきという立場ですが、一方で単純労働に従事する人々が新たなテクノロジーによって職を失うことを不安に感じるのも理解できなくはありません。

2016年はAI(人工知能)の発展が注目を集めましたが、特にAIの普及によって様々な職業がAIに取って代わられる近未来を煽る記事をよく見かけました。数年前には『機械との競争』なんて本が話題になったりもしました。

といった背景を考えたときに、なんで労働組合の人たちは「AI導入反対闘争」を訴えたりしないんだろう、みたいなことを考えたわけです。私は職場が新宿にあるので平日の昼間からデモをしている声が嫌でも耳に入ってくるんですが、彼ら彼女らは安保反対、ヘイトスピーチ追放、アベシネアベシネとか叫んでばかりでAI導入反対なんて話は聞いたことがありません。悲観的に考えればAIの導入で相当数の雇用が失われるのだから、労働組合の性質上、安保やヘイトよりも最優先で取り組まなければいけない案件のような気がします。

もちろん昭和の一連の反合理化闘争が誤った思想であったという反省の下に方針転換が行われたのであればそれは構わないのですが、調べてみると全日本金属情報機器労働組合(JMIU)には反合理化闘争委員会なるものが組織されているようですから、あいかわらず合理化路線には対抗する姿勢を持っているようにも見えます。

実際のビジネスに導入され始めたとは言え、現在はまだ試行レベルですから雇用状況へ与える影響は大したことない、という判断なんでしょうか。実際に本格的にAIが職場に導入され始めたら急に問題視して闘争を始めるのでしょうか。そうなってから騒いでも遅いように思えます。

この話に結論はまったくなくて、要するに、昔は反合理化闘争なんてことを激しくやってたみたいだし、現在もそういう組織は残ってるみたいだけど、雇用状況に甚大な打撃を与えるかもしれないテクノロジーを目の前にして何も言わないって変だよね、と疑問に感じたというお話でした。

どこぞの労組では問題視しているとか、現在は多くの労組はこれこれこういう考え方なので様子見しているのだとか、どなたかその辺の事情に明るい方がいらっしゃったらコメント欄等で教えてください。

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