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徳島市に電子書籍のみの図書館がオープンするというニュースを読みました。

 全ての蔵書が電子書籍という私設図書館「みる会図書館徳島館」が27日、徳島市にオープンする。専用アプリが入ったスマートフォンやタブレット端末で自由に閲覧できる。自らこのアプリを開発した佐野誠一代表(34)は「書庫のスペースは不要で、本の傷みや紛失の心配もない。電子図書館には大きな可能性がある」と話す。

出典:貸し出し中・本の傷み…心配なし 電子書籍だけの図書館

図書館とは言いながら貸し出しはしておらず、その理由として「著作権料の支払いなどが必要になる」ことが挙げられていました。

 利用は館内での閲覧に限る。館外にデータを持ち出す「貸し出し」は、著作権料の支払いなどが必要になるためだ。私設図書館の設立に認可制度はないが、図書館法に基づいた施設にするために、運営を担う社団法人を立ち上げた。

出典:貸し出し中・本の傷み…心配なし 電子書籍だけの図書館

電子図書館を実現するためには、紙の書籍を電子化(複製)→電子書籍を配信(公衆送信)という行為が必要になります。

複製に関しては、記事の後半で福井健策弁護士が図書館等における複製(著31条1項)の規定があるが該当するかどうか微妙という解説をしています(下線は筆者)。

 書籍を電子化し、蔵書として扱うことに問題はないのか。著作権や出版事情に詳しい福井健策弁護士は「慎重に検討して進めるべきだ」と指摘する。
 書籍の電子化は著作権法では「複製」にあたる。同法第31条第1項では「図書館資料の保存のため必要がある場合」に複製が認められているが、福井弁護士は「劣化の恐れがある場合や、絶版などで入手困難な場合に限られるという見方が一般的」としている。

出典:貸し出し中・本の傷み…心配なし 電子書籍だけの図書館

(図書館等における複製等)
第三十一条 国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この項及び第三項において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる
一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあつては、その全部。第三項において同じ。)の複製物を一人につき一部提供する場合
二 図書館資料の保存のため必要がある場合
三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料(以下この条において「絶版等資料」という。)の複製物を提供する場合

したがって、記事中で言及している著作権料とは、公衆送信権(著23条1項)に関するものになります。

(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

公衆送信の定義(著2条1項7号の2)の但書において、同一構内における通信は公衆送信には該当しないことが規定されています(下線は筆者)。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

つまり、電子書籍のオリジナルを格納しているサーバが存在するビル内でその電子書籍を閲覧する限りにおいては公衆送信に関する著作権料が発生しないという話になります。

なので、例えば、分館とかを作って広域で閲覧可能にしようとすると、基本的には各ビル内にサーバを設置する必要があります。その場合、オリジナルのコピーを各館のサーバに置かなければいけませんので、ますます図書館等における複製等に該当するか否か怪しくなってきます。

現行の著作権法で実現できる電子図書館の限界まで攻めているという印象はありますが、逆に電子書籍のメリットが活かしきれていない感も強いです。フルオプションの電子図書館を実現するための抜本的な法整備が待たれます。

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