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昨年の夏からマイホーム購入を検討し始め、紆余曲折がありましたが、年明け早々に着工の運びとなりました。

その間、住宅関連の情報収集には暇がなかったのですが、とりわけ目立っていたのが桧家住宅の「Z空調」でした。住宅メーカーの中では新興の部類だと思いますが、斎藤工さんをCMに起用したりして勢いを感じます。東証2部にも上場しているようです。

Z空調は、その桧家住宅が一押ししている建物+空調+換気のパッケージのようです。しかし、CMを見るだけでは実態がよくわかりませんでした。興味深いことに特許を取得しているそうなので、内容を調べてみました。

Z空調(ゼックウチョウ)は建物の断熱・気密を「ヒノキヤグループ」、空調を「ダイキン」、換気を「協立エアテック」と各社が持つ高い技術のコラボレーションにより実現した「新時代冷暖システム」です。
〈特許取得済:特許第6211675号〉

出典: はじめませんか?Z空調のある暮らし|Z空調|ヒノキヤグループ

該当の特許第6211675号の請求項1は以下のようになっています。下線部分は拒絶理由を受けて補正した部分なので、この部分に他社とは異なる特徴があると考えられます。

【請求項1】
建物の天井裏空間または天井面に配置された空調機と、
前記建物の床下空間に配置された換気装置と、
前記空調機から送給される空調空気を前記建物内へ供給するため前記建物内の各部屋に設けられた給気口と、
前記床下空間を経由して前記建物内の空気を排出するため前記建物内の1階の各部屋の床面及び共用部の床面に設けられた複数の排気口と、
各部屋のドア下縁部に設けられたアンダーカットと、を備え、
前記換気装置が、
前記床下空間内の空気を吸い込んで前記建物外へ排出する機能と、
前記建物外の空気を吸い込んで前記空調機へ送給する機能と、
を有し、
前記建物内の共用部分の天井面より低位置に形成された下がり天井の天井裏空間内に前記空調機を配置し、
前記部屋において前記空調機から最短距離に位置する部分に前記給気口を設け、
各部屋から排出される排気は、前記アンダーカット及び前記共用部の床面の排気口を経由し、気密状に仕上げられた床下空間を経由して排気可能である
ことを特徴とする全館空調システム。

出典: 特許第6211675号

空調機が天井裏に、換気装置が床下に設置され、天井から給気して床面から排気するように換気経路を設計したようです。

床下を利用して換気する設備を売りにするメーカーはいくつかあります。大手メーカーでは、例えばパナホームの「エコナビ搭載換気システムHEPA+(プラス)」では、床下から外気を取り込み、HEPAフィルタを搭載した換気装置を通して各居室に給気する構造としています。

puretech
出典:https://www.panahome.jp/tech/puretech/concept/index.html

また、セキスイハイムの「快適エアリー」も、床下から外気を取り込みフィルターを通して居室に給気します。このとき温度調整も同時に行い、各居室の床面から排気を行うことがパナホームとの違いです。
airy
出典:http://minsuma.jp/technology/airy/

天井面に空調機を設置することは天井埋込カセット形が一般的に普及しているので言うまでもなく周知技術です。また、床下に換気装置を設置して床面から排気するのは快適エアリーもやっていることです。快適エアリーの場合は、給気も排気も床面で行うので、Z空調とは異なりますが、装置が1台で済む分快適エアリーの方が優れているようにも見えます。

Z空調はこのような構造とすることでどのような効果があるのでしょうか。拒絶理由通知への反論を参照すると理解できました。

(a)各部屋に供給された調和空気がアンダーカットを経由して共用部分に排出されるので、共用部分も各部屋と同様に空調することができ、建物内の温度が均等になるように全館空調することができる、
(b)共用部分を排気経路として利用するので、別途、排気ダクトを設ける必要がない、
(c)空調機の設置スペースを容易に確保することができ、別途、空調機室を設ける必要がない、
(d)非居室である共用部分に空調機を設置するので、空調機の運転音が居室に届き難く、居住者にとって静粛な全館空調システムとなる、

出典: 特願2016-229051 2017/07/21付け意見書

4つの効果が上がっていますが、大きいのは(a)でしょうか。すなわち、各部屋に給気口と排気口を設けるのと別に、共用部分にも排気口を設けることで、アンダーカットを経由して共用部分をも空調できるようにした、ということです。

私の記憶が確かならセキスイハイムのモデルハウスで廊下の床面に快適エアリーの排気口があった気がします。もしかしたら快適エアリーは給気口もセットで必要だったかもしれません。共用部分には排気口しかなくアンダーカットを吸排気の経路として活用している、という点で新しい発想と捉えることはできるかもしれません。

共用部分に空調機を設置するというのはあまり一般的ではないような気もします。しかし、これから建築するわが家は換気装置を二階の天井裏に設置するのですが、騒音を考慮して廊下の上に設置するようにしてくれました。任意の位置に設置できる機器を騒音を考慮して居室外に設置するのは当然の発想で、これでもって進歩性を主張するのは苦しいのではないかと感じます。

こうして調べてみると、特許要件に問題がないとしても、それほど画期的な技術という感じはしませんでした。最近の家は廊下などの共用部分は極力作らずに居室スペースをできるだけ広くする傾向が強いようですので、あまり適用できる場面は多くないんじゃないかな、という気がしました。

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