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2017年3月に開催された小牧基地オープンベースでブルーインパルスが無許可で曲技飛行を行ったとして市民団体が自衛隊を提訴したとのことです。

 愛知県の航空自衛隊小牧基地で昨年3月に開催されたイベントで、空自アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が必要な許可を取らずに曲技飛行をしたとして、地元の住民約380人が26日、航空法違反の疑いで、当時の基地司令やパイロットらへの告発状を名古屋地検に提出した。こうした告発は全国初とみられる。
 航空法は人口密集地域で宙返りや横転などの曲技飛行を行う場合、国土交通相の許可が必要と規定。住民は基地周辺が人口密集地域に該当するのに許可を申請せず、急激な方向転換を伴ったり、機体を90度以上傾けさせたりする飛行をしたなどと訴えている。

出典:ブルーインパルスを告発 無許可で曲技飛行疑い – 共同通信

小牧空港でブルーインパルスが飛ぶのは3年連続になりますが、反対運動に配慮して曲技飛行は行っていないと聞いています。今回問題とされた2017年も曲技飛行はなかったと報道されています。

 愛知県小牧市の航空自衛隊小牧基地で基地を公開するイベント「オープンベース」が5日開かれ、曲技飛行隊「ブルーインパルス」(宮城県・松島基地)が展示飛行を行った。航空ファンら約6万2000人(基地発表)が訪れた一方で、周辺自治体が反対する中で行われたことに対し、2団体約25人が飛行反対のプラカードを掲げて抗議した。
 午後0時半、青、白2色のブルーインパルス6機が基地に隣接する県営名古屋空港を次々と離陸。編隊を組んで桜やハートなど13種類の航跡を描いた。いずれも水平飛行の演技で、宙返りや背面飛行など、大技の曲技飛行は行われなかった。

出典:小牧基地:「ブルーインパルス」曲技飛行なし – 毎日新聞

2015年に44年ぶりに小牧空港でブルーインパルスが飛んだときに興味を持って調べたのですが、小牧空港におけるブルーインパルスへの反対運動は激しいものがあります。特に反対運動が激しい春日井市上空を飛ばないようにブルーインパルスが急旋回することから、「春日井ターン」なる新語も生まれているほどです。

小牧基地のブルーインパルスのこと調べたら頭が痛い | やめたいときは やめるといい。

こうした事実を総合すると、自衛隊は(報道を含めた世間一般も)「曲技飛行をしていない」と認識しており、そのため国土交通省の許可も不要と判断したものと考えられます。一方で、市民団体側は実際には曲技飛行に該当する行為が行われており国土交通省の許可もないのだから航空法に違反したと訴えているわけです。

住宅地上空で曲技飛行を行う際に国土交通省の許可が必要なのは、航空法第91条第1項但書に規定されています。

(曲技飛行等)
航空機は、左に掲げる空域以外の空域で国土交通省令で定める高さ以上の空域において行う場合であつて、且つ、飛行視程が国土交通省令で定める距離以上ある場合でなければ、宙返り、横転その他の国土交通省令で定める曲技飛行、航空機の試験をする飛行又は国土交通省令で定める著しい高速の飛行(以下「曲技飛行等」という。)を行つてはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
一 人又は家屋の密集している地域の上空
二 航空交通管制区
三 航空交通管制圏

「国土交通省令で定める曲技飛行」とは、航空法施行規則第197条の3に規定されています。

(曲技飛行)
第百九十七条の三
法第九十一条第一項の国土交通省令で定める曲技飛行は、宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストールその他航空機の姿勢の急激な変化、航空機の異常な姿勢又は航空機の速度の異常な変化を伴う一連の飛行とする。

実際に小牧空港オープンベース2017でブルーインパルスの展示飛行を撮影した動画がYouTubeに相当数アップロードされていますので見てみました。

航空法施行規則に定める「宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストール」といった行為は見受けられません。あるとしたら機体を90度まで傾けて旋回する行為でしょうか。報道にある「急激な方向転換を伴ったり、機体を90度以上傾けさせたりする飛行をした」と一致します。

結局のところ、この行為が航空法施行規則に定める「その他航空機の姿勢の急激な変化、航空機の異常な姿勢」に該当するか否かというのが争点ということでしょう。これ以上は司法当局の判断次第ということになりましょう。

いずれにしても来年以降は自衛隊も念のため事前に国土交通省の許可を取るようになるだけだと思われます。もしくは2014年以前のごとくブルーインパルスの飛行展示を止めるかですね。一般市民には好評で大盛況のようですから、一部市民の運動で東海地方のファンがブルーインパルスを見る機会を奪われるとしたら悲しいことです。

ちなみに国土交通省は少なくとも2016年までの飛行展示に違法性はなかったという認識を示しているようですから、申請すればすんなり許可が下りるのではないでしょうか。

一方で国交省は、「ブルーインパルスの飛行は、申請に基づいて適法に行われているものと考える」と回答し、現地の状況把握すらしないで防衛省の申請手続きをいわば信用するという態度です。航空法の監督責任を放棄するようなずさんな実態が明らかになりました。

出典:ブルーインパルス展示飛行反対! 関係各所への要請行動を行う | 愛知県平和委員会

毎度思いますが、東海地方の皆さんは本物のブルーインパルスの飛行展示が見られなくて気の毒です。
今年も11月3日には入間基地で航空祭がありますから、ぜひいらしてくださいね。

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