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2011年の特許出願件数で中国が世界1位だったことが報道されていました。

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(去年の特許出願 中国が初の世界一 NHKニュースより)

元ネタはWIPO(世界知的所有権機関)が発行している『World Intellectual Property Indicators - 2012 Edition』だと思われます。

近年の中国の特許出願数増加は目覚ましいものがあり、近いうちに世界1位に躍り出るだろうことは大方の予想するところでした。しかし、まさかこんなに早いとは考えていませんでした。だって、2010年の時点では、1位の米国が490,226件、2位の中国が391,177件、10万件も差があったんですから。これが1年でひっくり返るとは思いませんでした。しかも米国も特許出願数は増加傾向にあるのです。

さて、記事にもある通り、現在日本への特許出願数は世界で3位です。2005年までは長いところ世界1位でしたが、2006年に米国に抜かれて2位に、2010年には中国に抜かれて3位になっています。

2000年から2011年まで各国の特許出願数の推移をグラフにしました。2010年時点でトップ10の国をピックアップしています。やはり中国の異常な伸びと日本の減少傾向が目に付きます。世界的には出願件数は増加傾向にあって、はっきりと低下しているのは先進国では日本だけです。

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※2000~2010年はWIPO IP Statistics Data Centerから抽出したデータを利用し、2011年は上記のWorld Intellectual Property Indicators - 2012 Editionを参照しました。

日本国民としては惨憺たる結果に見えます。屈辱的ですらあります。そんな方たちのためにもう一つグラフを用意しました。

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こちらも真っ先に目に付くのは中国の異常な伸びです。日本の逓減傾向も確かに見て取れます。しかし、このグラフは日本が1位です。

今回報道されている件数(つまり上のグラフ)は各国の特許庁が受け付けた特許出願の件数でした。WIPOの統計項目では「Total count by filing office」です。
下のグラフはどの国の特許庁に出願したかは関係なく出願人の国籍で特許出願数を集計したグラフです。WIPOの統計項目では「Total count by applicant’s origin」です。

特許出願のほとんどは企業によるものですから、これは、2011年の時点でも日本企業が世界で最も特許出願しているということを表しています。

もちろん国策としてプロパテントを進めていて膨大な人口を抱える中国が早晩世界一に躍り出ることは間違いないと思います。しかし、日本国特許庁に対する出願数の低下幅と較べて日本企業の世界全体への出願数はそれほど低下していません。

日本国特許庁がまとめている『特許行政年次報告書2012年版』によれば、日本からの国際特許出願件数は2010年から2011年にかけて20.5%増加しています(31,524→37,974件)。

日本企業の研究開発意欲は決して弱くありません。むしろグローバルでの競争に向けて積極的に動いていると考えるべきです。

「特許出願件数」なんて言われると、国の技術力を表す指標のように捉えてしまいがちなのですけれど、むしろ経済的な側面として捉えるべきだと思います。日本国特許庁への出願件数が減っているのは、外国企業(場合によっては日本企業でさえ)が日本のマーケットに期待していない現状を表していると考えるべきです。

データというのは違う側面から見れば違う顔を見せます。だったらできるだけ明るい見方を探すのもいいと思いませんか?


元データはこちらに公開しておきます→各国特許出願件数

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