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現役の弁理士が特許戦略を説く書です。

タイトルに「ニュースに学ぶ~」とあり、最近特許関連で話題になった事件などを多く紹介していますが、話の枕に使っているだけで特にニュースの内容を詳細に解説するわけではありません。

全般的に特許とはどういうものかをわかり易く伝えるのが主眼になっていて、その話の中に最近のニュースを散りばめることで説得力を高めようという試みだと思います。帯が「アップルとサムスンは、なぜ訴訟合戦を繰り広げるのか?」となっていて思わず手に取ったのですが、ニュースで読む以上の情報は得られませんでした。

本書は、幻冬舎の経営者新書というシリーズで発行されていて、おそらく想定読者は会社の経営層にある方でしょう。そういう視点で見ると、特許とはどんなものか、何のために特許を取るのか、特許を取った後どうするべきか、などを噛み砕いて説明しており、本当に何も知らない経営者がさらっと頭に入れる程度には役に立ちそうな感じがします。

今までこの手の特許戦略論というのは、大企業の知財部出身とか、経営コンサルとかが書く経営戦略目線の内容が多かったように思います。そういう点では新しい切り口で純粋に面白く読めました。

経営者向けと言う意味でマネーの話に多く触れているのもよいと思いました。例えば特許取得の費用とか維持費用とか、特許権侵害の損害賠償がいくらになったとか、特許権の譲渡でこんな金額が動いたとか。経営者の発想って結局最終的には「で、なんぼ儲かんのや」に帰着すると思いますので、よい試みだと思います。

本当は一つの会社でどれくらい特許取得維持にコストを掛けて、どれくらいの収益が上がっているかとか、切り込んだ話があるともっと面白いんですが、弁理士という立場ではなかなか情報を入手するのもそれを書くのも難しいところだろうと思います。

本書は、さらっと読めてざっくり最近のトレンドが抑えられる良い本だと思いました。ただし、特許関連の仕事をすでにしている方には馴染みのある内容ばかりですから、お偉いさんとお話しするときのネタ仕込みくらいしか用途はないかもしれません。

本書でも取り上げられている三菱化学の元知財部長が書いた特許戦略の本です。併せて読みたい。

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