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すでに違法ダウンロード刑事罰化やDVDリッピング規制など一部の内容が2012年10月1日から施行されている平成24年度著作権法改正ですが、残りの改正分は2013年1月1日から施行されます。

改正著作権法が1月から全面施行、「写り込みOK」明確化 -INTERNET Watch
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1月施行分は全体的に規制緩和側の内容ですので、一般的には概ね歓迎されているようですが、報道を含めてほとんど注目されていないようです。10月施行分は内容も立法過程も酷かったので仕方ないですが随分と温度差を感じます。

このブログでは平成24年著作権法改正については事ある毎に追っ掛けてきたので一応1月施行分についても確認しておこうと思います。

改正内容については文化庁の法改正資料を参照しました。

参考:文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 著作権制度の解説資料 | 最近の法改正について | 平成24年通常国会 著作権法改正について

1. 著作権等の制限規定の改正(著作物の利用の円滑化)
① いわゆる「写り込み」(付随対象著作物としての利用)等に係る規定の整備
○ 付随対象著作物としての利用(第30条の2関係)
○ 許諾を得るための検討等の過程に必要と認められる利用(第30条の3関係)
○ 技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用(第30条の4関係)
○ 情報通信の技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用(第47条の9関係)
② 国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信に係る規定の整備

著作物の利用の円滑化

30条の2は、例えば街中で写真を撮ってブログとかに掲載するとき、その写真に他人の著作物が写り込んでいた場合など、複製権の侵害が疑われるとき、一定の条件を満たしていれば権利行使が制限されるという内容です。

30条の3は、ライセンスを受けるための検討を行う会議などで配布する資料にその著作物を掲載するなど、複製権の侵害が疑われるとき、一定の条件を満たしていれば権利行使が制限されるという内容です。

30条の4は、例えば録音や録画のためのデジタル機器を研究・開発する際に他人の著作物を素材として試験した場合など、複製権の侵害が疑われるとき、一定の条件を満たしていれば権利行使が制限されるという内容です。

47条の9は、例えばSNS等の大規模Webサービスにおいてサーバ間で著作物の複製を行う場合など、複製権の侵害が疑われるとき、一定の条件を満たしていれば権利行使が制限されるという内容です。

要するに、主に情報通信技術の発展により今までの著作権法で想定していなかったためにグレーゾーンになっていたような行為を、明確に権利行使を制限して合法とするための改正になっています。

国立国会図書館に関する規定の整備

従来から国立国会図書館は納本された資料のデジタル化を著作権者の許諾なく行うことができましたが、デジタル化された著作物について、①国立国会図書館による送信先図書館等に対するインターネット送信、②送信先図書館等による利用者の求めに応じたインターネット送信された資料の一部複製、を著作権者の許諾なく行うことができるようにしたものです。

この際、送信先の図書館は公立図書館や大学図書館等の一部に限定し、送信可能な資料も絶版等により入手が困難なものに限定されています。

評価

全般的には今までグレーであった行為を明確に合法として著作物の利用を促進するための規定ですから、一定の評価はされるべきだと思います。一方で今回の改正対象となった行為によって大きな損害を受けていたようなケースは考えにくく、この改正の恩恵を受ける人がどれだけいるのかというと非常に疑問は感じます。

おそらく従来から違法の可能性はあるけどまぁ大丈夫だろうとして行っていたことが、明確に合法となってちょっとだけ安心するくらいの効果しかないんじゃないかと思います。簡単に言えば人畜無害な改正でしょう。

元々この改正は、日本版フェアユースの導入に関する議論が端緒であったという話を聞きます。フェアユースとは米国の著作権法107条に規定されている理論で、「目的や価値などから総合的に判断して正当な使用である、つまりフェアユースである時には著作権の効力が及ばない」とする考え方です。

議論を進める中で侵害の可能性があるが合法としても問題がない特定の行為を抽出して、権利制限規定に追加するに留まった、という経緯があるようです。成文法を基本とする大陸法体系の流れを汲む日本では馴染まないというのが根底にあったのだろうと想像します。

おそらくこの改正によって、日本版フェアユースの議論は一定の解決を見たと評価されているようで、今後当分の間は日本版フェアユースが俎上に上がることはないだろうと言われています。今後も技術革新は進むだろうし、進めなければいけない中で、個別の行為を問題になってから追加するような方向で法整備を進めることには非常に疑問を感じざるを得ません。

決まったことは仕方ないし一定の評価もすべき改正だと理解はしますが、ちょっと残念な改正であるということも頭に置いておくべきことだと思います。


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