スポンサードリンク

あるブログで紹介されていたので読んでみた。よく見ると初版が2010年2月になっていてもう一年以上前に発売されていたようだ。あまり話題にならなかった気がするんだけど、ぼくは2010年の前半は完全に世の中と隔絶した生活をしていたから気付かなかっただけなのかもしれない。内容が内容だけに、(本書で描かれるように)マスコミから抹殺されたのかもしれない。表紙や著者の名前だけで敬遠されてしまったのかもしれない。

著者は『嫌韓流』で一世を風靡した漫画家だ。ぼくも第一作は読んだけれど、続編は読む気がおきなかった。視点が一方的過ぎて読んでいてあまり気持ちが良いものではなかったからだ。最終的に4作まで続いたようだ。よくそんなにネタがあったな、と思う。読んでないけど。

本作の構成はこんな感じだ。派遣切りにあった主人公がひょんなことから若手実業家を助けることになり、御礼にバイト先としてグループのニュース配信サイトを紹介される。バイト記者として、非正規雇用×正規雇用の格差を追求していく中で、若者×高齢者の世代間格差が根源にあることに気づく。

一見して膨大な統計資料を基にして論を進めているように見えてなかなか説得力があるのだけれど、一部で乱暴な展開が気にならないわけではない。(国の負債が、あたかも高齢者の年金と健康保険によって膨大になったかのように描かれていた。)

それはそれとして、世代間の格差というのは意外と普通に生きていると気が付かないものだ。ぼくの両親ももう年金受給世帯なのだけれど、彼らがいくらの年金をもらっているか、ぼくの年収と比較してどうなのか、聞いたこともないし、そんなこと聞けない。ただ、間違いなく言えるのは、労働収入は一銭もないにもかかわらず、年に数回一週間くらい家を空けて旅行に出たり、2人暮らしには広過ぎる一軒家を維持したり、3ℓ超のRV車を乗り回したりするくらいの金回りはあるということだ。

ぼくは今現在、試用期間なので年金も健康保険も自分で振り込んでいる。サラリーマン時代には天引きで気付かなかったけれど、結構な金額を取られていることに気づく。(給料明細でいくら引かれるのかを見るのと、一回入ってきた金を自分で振り込むのでは明らかに重さが違う。)健康保険など、ぼくが社会に出てからの12年間で使った医療費を遥かに超える金額を一カ月で持って行かれるわけだ。健康を維持するために運動するのがバカらしくなってくる。

ぼくは、サラリーマンの源泉徴収制度は廃止した方が良いのではないかと考えている。少なくとも確定申告の時期には自分がどれだけ稼いでどれだけ持っていかれているのかが見えるようになるだろう。それが若い世代が政治に目を向ける端緒になるに違いない。

本書の結論は、若年世代の投票率を上げるのが解決策だと訴えている。その具体的な手法は曖昧なまま終わってしまっていて残念だ。amazonのレビューでもそういうコメントが目に付いた。何でこの手のマンガにそこまでを求めるのか理解できないけれど、言いたくなる気持ちはわからないでもない。

基本的に大筋では、ぼくが普段から感じていることと変わらなかった。できればこういう話は高齢者の方たちに知ってもらいたいのだけれど、マンガというメディアの特性上難しいだろう。企画として戦略を誤っているようにも思えて残念だ。

ぼくももうすぐバリウムを飲む年になる。もう若者とは言えない年代になってきたけれど、世代間格差の最前線世代として、この手の動向には目を向けていきたいと考えている。

LINEで送る
Pocket