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2010年の最大のベストセラーは『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(通称「もしドラ」)』だった。この小説のヒットによって空前のドラッカーブームが起きた。ほとんどのビジネス雑誌ではドラッカー特集が組まれ、「もしドラ」風の萌えな感じのビジネス書が雨後のタケノコのように出版されていった。その余波は2011年の現在も続いていて、「もしドラ」はアニメ化・ドラマ化され、書店には相変わらずドラッカーの特設スペースが設けられている。

そういう状況であったから、ドラッカーに関しては大変気には掛けていたのであるが、そろそろ自己啓発系の書籍にも食傷気味だったので『マネジメント』にはどうしても手が出なかった。(ちなみに『マネジメント』が自己啓発系なのかどうかは勝手なイメージで言っている。何しろ手に取ったことも無いので。)

そんな中で自分的なドラッカー第一弾として手にしたのが本書である。

結論から言うと、今の今まで読んでいなかったことを猛烈に後悔している。
本書において著者は、社会の変化が経済と経営にさまざまな変化をもたらすと説く。そして社会の変化とは、少子化による人口構造の変化や製造業から知的労働へのシフト、そして非正規雇用の増大を大きな要因として挙げている。これらの社会の変化が具体的にどのような変化をもたらすかを色々な側面から説いていくのである。そしてここで語られているほとんどのことは現在進行形で起きている現代社会の変化であるように見える。

本書は初版が2002年に発行となっているから、もう10年近くも世の中に存在していたことになる。われわれを取り巻く今日の様々な社会問題は、10年前からドラッカーによって予見されていたということだ。それをもっと早く知っていればもっと違う生き方ができたのかもしれないと思えてならない。と同時に、10年前の自分に本書に示唆されていることが十分に理解できたか疑問を感じている。そもそも今の自分にもドラッカーが伝えたかったことが満足に理解できているか怪しいものだと思う。

目の前にあることに全力で当たることはもちろん重要なことなのだけれど、一方でそれが社会の変化の流れの中で正しい方向を向いているのか、俯瞰して見る目を養っていかなければいけないと痛感している。

最後に本書の中で気になった一節を挙げておきたい。第Ⅳ部第1章の最後の方の一節である。

 したがって、これから始まる新たな一〇〇〇年、あるいは一〇〇年におけるわれわれに課された最大の課題が、それら諸々の組織の自立性を保ちつつ、しかもグローバル企業にあっては主権国家の管轄さえ超えた自立性を保ちつつ、今日では戦時以外は失われてしまった社会の一体性をいかにして回復するかである。とはいえ、われわれはいまのところ願うことしかできない。われわれは、いかにそれをなすべきかを知らない。

今回の震災でわれわれは社会の一体性を取り戻しつつあるのかもしれない。多くの犠牲を払ったことが無駄にならないように努めていきたいと思う。

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