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本書の帯には、こう書いてある。「知的財産権は、人類進歩を阻害する!

タイトルから予想できるように、特許権や著作権による独占状態が経済的に与える影響を検討し、知的財産の独占権がいかに経済に悪影響を与えているかを説くものである。結論としては、特許権や著作権は廃止すべきと主張している。この手の書物ではお決まりのジェームズ・ワットの蒸気機関とか、ライト兄弟とカーチスの係争とか、押さえておきたい小ネタも充実している。全体的に論理的に主張が展開されているし、結論の突飛さに比較して割とまともな書物だと感じた。ちなみに、専門的な内容の割に読み易いな、と思っていたら、翻訳者がローレンス・レッシグの『CODE』を翻訳した山形浩生氏だった。訳者あとがきが充実していて、ここだけでも読む価値はある。まずは書店で訳者あとがきの部分を読んでみて興味が持てたら読んでみたら良いのではないだろうか。結構高い本だし。

経済学者としては、自由貿易が理想であって、公権力によって人為的に生み出される独占状態が好ましくない、という発想は理解できるのだけれど、根本的にライセンスや公開による発明の利用の側面がまったく考慮されているように見えないのが、個人的には気になった。

正直なところ、現代社会を生きていく限りにおいては、それほど役に立つ本ではないと思う。それでも、あるのが当然と思っているものが実は要らないんじゃないの?という視点からその仮説を突き詰めて考えていく姿勢は、別の意味でよい刺激になったかなと思う。

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