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FX(外貨証拠金取引)を始めてもう6年ほどになる。当時(2005年初頭)はドル円が105円程度、ユーロ円が130円くらい、豪ドル円が75円くらいだったように記憶している。そこから「円キャリートレード」のブームによって2007年後半までにドル円が124円程度、ユーロ円が170円くらい、豪ドル円が110円くらいまで上昇した。その後のいわゆるリーマンショックからユーロ危機によって現在(2011年末)はドル円が78円、ユーロ円が100円、豪ドル円が78円となっている。ぼくは2008年の5月に出張でドイツに行ったのだけれど、当時170円近辺で両替したユーロ紙幣が今だに我が家に眠っている。

始めた当初は為替関係の本を狂ったように読み漁った。FXブームのおかげで毎月のように目新しい手法を紹介する本が出版されていた頃だった。さすがに6年もやっておいしい思いや苦い思いを繰り返して自分にできる範囲が見えてくると一般向けの入門的な本には興味を持てなくなってくる。また、FXについては長期的なトレンドはあまり関係なくて短期的な上下動の頻度の方がずっと重要だ。そうすると長期的な動向を解説する書物についても重要とはわかっていてもなかなか身を入れて読み解く気力が湧いてこない。

そんな感じで為替関連の本にはほとんど興味を失っていたのだけれど、いつも読んでいる複数のブログでとても評価が高かったので久々に手に取ってみた。本日時点でamazonのランキングでは投資関連で1位、全体でも21位とベストセラーになっているようだ。

「弱い日本の強い円」 - ヘッジファンドにはなぜ勉強熱心でいい人が多いのか? – 内藤忍の公式ブログ
金融日記:弱い日本の強い円、佐々木融

読んでみると評判通りとても分かり易く、当たり前のように新聞やニュースで語られていることが実は正しくないことを指摘してくれる。特に僕の場合は円キャリートレードの流れを解説する文脈の中で為替とはそういうものだという認識を植え付けられてしまっていたから現在の円高局面を理解するだけの語彙を持ち合わせていなかったことを痛感させられた。例えば、本書の中ではドル円だけでなくクロス円で考えることが重要という指摘をしており、為替レートを決めるのは国力ではなくマクロ経済的なフローであると述べている。日本は経常黒字であるし米国は経常赤字である以上、ドル円レートが常に円高方向への圧力を受けるのは当然ということである。また、長期的な視点に立てば購買力平価は正しい考え方であり、デフレが続く日本ではそれに連動して円高に振れるのも当然であるという。確かにこんなことを3年前の円安局面で言われてもにわかには飲み込めないところだっただろう。長期的な傾向を見ながら大きな流れの変化があった際にはWebや新聞の適当な解説で済まさずにちゃんとした専門家の見解に耳を傾けるのは重要なことだと気付かせてくれた一冊だった。

年末になって今年出た本のおすすめをまとめたブログ記事などがよく出ている。それらの記事の中でこの本も結構な割合で紹介されているのを見掛ける。今年の経済関連では間違いなく必読の一冊であろう。新書としては平均的な分量であるし比較的平易な文章で一気に読み通すことができる。正月休みにあまり時間がないけれど何かためになる本を一冊でも読んでおきたいと考えるならば、まさに最適な一冊だと思う。

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