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2012年3月15日、2012年1月から中断していた特許庁の業務・システム最適化計画について、新しい計画が公開されました。

参考:特許庁はシステム刷新計画の何を刷新したのか

改めて特許庁の業務・システム最適化計画頓挫の件について世間の反応を追っ掛けてみたのですが、どうも国民の血税が無駄になった、けしからん、という話が普通にまかり通っていることに気付きました。

参考1:東芝のシステム開発中断で特許庁支出の国民の血税 5 4 億 円 が無駄に | ログ速

参考2:特許庁次期基幹システム開発中断(山口巌) – BLOGOS(ブロゴス)

先ず第一に、民間企業であれば、基幹システム開発中断ともなれば、競業企業との競争に敗北する事は確実であり、最悪破綻してしまう。役所は破綻しないので結果こういった愚行が繰り返される。そして、愚行の原資は「税」である。

第二は、支払い条件である。何故、糞の役にも立たぬ仕事の結果に対し金を支払うのだ?これは、結果、溝に国民の血税を捨てているのと同じ行為だと気付かないのであろうか?実に不思議である。

参考3:特許庁次期基幹システムでの杜撰さ – @nifty教えて広場

東芝子会社が「99億円の破格の安値で落札した」といってるけど、元マイクロソフト幹部の中嶋聡さんによると、本当は20億円以下でできる仕事だといってます。
http://satoshi.blogs.com/life/2013/01/toshiba.html
それだけ、政府の役人のコスト意識が低いということで、被害者は血税を払う国民です。

特許庁のコストは、受益者負担の観点から、特許特別会計として一般会計とは切り離されて運営されています。

歳入は主に、特許・実用新案・意匠・商標等の工業所有権に関する出願人が納付する手続手数料、および登録査定がされた工業所有権の登録料です。財務省の資料によれば、一般会計からの受入は0円になっています。つまり国民の税金は一切投入されていません。

特別会計ガイドブック(平成24年版) : 財務省
第Ⅱ編 特別会計各論 → 15.特許特別会計

大損をこいた業務・システム最適化計画は、この特許特別会計から支出されています。上記のリンクは公開されている最新版である平成24年版ですが、システム開発中断が決定したのが2012年1月、つまり平成23年度だったので、直接システム刷新に関しては言及されていませんでした。

しかし、前年の平成23年度の資料を見てみると、業務・システム最適化計画の予算は特許特別会計から出ることがはっきりと記載されています。

(b)システムの整備・最適化
 「特許庁業務・システム最適化計画」に基づき、外部ユーザーへの情報提供の飛躍的向上、ホストコンピュータ(レガシー・システム)からの脱却を目指し、「特許庁運営基盤システム」の開発を継続します。
 また、世界最高水準の的確かつ迅速な審査を実現するための環境整備として、「特許庁新検索システム」の開発に向けた準備を行います。同システムの開発に当たっては、大学・企業等のイノベーション促進にも資するように可能な限りオープンな形式を採用し、特許情報とグルーバルな技術情報をシームレス(継ぎ目無く)に検索できるようにします。
(特許特別会計(平成23年版)より引用)

ここで言いたいのは、別に国民の血税は投入されていないんだから、特許や商標の出願も登録もしていない一般国民がガタガタ言うんじゃない、ということではありません。今回はたまたま特別会計の枠内で処理できているからいいけれど、大きな赤字が発生すれば当然一般会計で穴埋めしなければいけませんから、一般国民が文句を言っても筋違いというわけでもありません。

ただ、もうちょっと実際に費用負担をしている大口の出願人からの圧力があってもいいんじゃないかという気がします。日本の特許出願数が多い企業はほとんどが経団連加盟企業ですけれど、その経団連が公開している「知的財産政策ビジョン」策定に向けた提言でも、直接的な言及は、最終頁で「審査における外国文献への対応(審査用に整備した外国文献(収集国増加、和文抄録作成)の成果をインターネット等により提供)」と「ユーザーが日本文献と外国文献を一括して効率よく検索できるインターネットサービス(IPDL)の整備」を挙げている程度です。

もちろん提言の中で触れている事項の中にもシステム対応が必須であり、システム刷新の遅れにより先送りにされている事項もあるでしょうけれど、特許庁にとっての一次的な顧客として批判がされてもいいんじゃないかな、と思います。

いや、裏ではいろいろ言ってるのかもしれませんけれど。どうなんでしょうね。


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