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極東ブログfinalventの日記で有名なアルファブロガー、finalventさんの著作を読みました。

たびたびネット上で記事が話題になっているのは知っていたんですけれど、「極東ブログ」という名前が右翼的な響きがあるように感じて、ちょっと危ない感じの人なのかな、と思ってました。特に政治的な話題についての記事が目に止まることが多かったというのもあるかもしれません。

そのうち、どうやらかなり古くからある有名なブログらしいということがわかってきました。2005年発行の『アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから』という本にも代表的なアルファブロガーの一人として名前が挙がっています。

人気があるにはそれだけの理由があるに違いないと思って、手当たり次第に公開されている記事を読んでみました。話題の幅が広く、かつすべて深い洞察がされていて、その博識ぶりに驚き、ときに織り交ぜられる日常的な話題もウィットに富んでいて、人気を集めるのも納得しました。と共に、この人は一体何者なんだろう、という興味を持っていました。

本書は、2012年に55歳となったfinalventさんが人生を振り返る自叙伝です。テーマごとに章立てして6つの切り口で自分語りをしています。取り上げられているテーマは目次を見れば一目瞭然。こんな感じです。

第1章 社会に出て考えたこと
第2章 家族をもって考えたこと
第3章 沖縄で考えたこと
第4章 病気になって考えたこと
第5章 勉強して考えたこと
第6章 年を取って考えたこと

ご本人も本書の中で何度も触れていますけれど、決して社会的に成功した方ではありません。平凡な人生とは言えないけれど、まぁこういう生き方もあるよなぁ、という感じ。冠婚葬祭で親戚が大勢集まったりすると、ちょっと世間のレールから外れたような、話の面白いおじさんが一人くらい交じっていたりすると思うんですけれど、正にあんな感じでした。どこにでもいるわけでもないけれど、ちょっと探せばいくらでも出てきそうな普通のおじさんです。

私は子どもの頃、偉人の伝記とかをよく読みました。エジソン、リンカーン、ヘレンケラー、野口英世、二宮金次郎、などなど。大体あの手の伝記は、本人に非のない環境的な不自由を強いられていた人が、努力の結果立派な功績を上げました、というストーリーになっています。立派な功績を残しても最初からすべてに恵まれていた人は出てこないし、どんなに努力をしても結果が残せなかった人は取り上げられることがありません。

でも、ほとんどの人はそんなに酷い不幸に遭うことはないし、人を驚かすような功績を上げることはできません。大過なく日々を過ごして何を残すでもなく死んでいくはず。そんな人たちでも自分の身に起きることには全力で取り組んでいるし、より良く生きようと懸命に考えているわけです。そうやって凡百の民衆が頭を捻って生きてきた積み重ねが、現在の文明の基礎となっているのだと思います。

「はじめに」の中に、このような一節があります。

論語に「後世畏るべし」という言葉がある。
(中略)
 若者には可能性がある。自分にも、たぶん、あった。そしてそれがなくなった。いつなくなったかというと、「後世」が見えたときである。自分より若年の人のなかに自分より優れた可能性を見たときだ。この若者たちは優秀だなと思うときだ。

本書の最終章は、このように結ばれています。

 私が死んでも、この世界は続くし、この世界に新しい人が生まれて、その人たちがきっと希望の火を灯す。
 自分がこの世界に絶望の呪いを投げかけて自己満足するのと、若い人たちの希望を信じてみるのとどっちがいいか。
 自分に希望がなくても、誰かを信じた方がいい気がする。
 じゃあ、自分はそっち。人類の希望を信じよう。
 生きる命というのを信じよう。

finalventさんは私のほぼ20歳上ということになります。自分もいい歳になってきて、残り半分の人生で自分に何ができるのか、と考えることも多くなってきました。たぶん大したことはできないんだろうな、という諦観も持ち始めています。

それでも、目の前のことに全力で取り組んでいけば何か得られるものはあるし、うまくいったかどうかに関わらずその経験は後を生きる人々にとって十分に意味があるものになるんだなぁ、と思いました。本書を読んで、そういうことを教えられた気がします。

きっと二昔くらい前だったら、世間的な成功をしていない一般人が自叙伝を出版することなんて考えられなかったんじゃないでしょうか。インターネットが生れてブログなどを通じて一般人が簡単に自己表現をできる環境になったからこそ、こうした個人的な体験をみなで共有することができるようになったのだと考えられます。そう考えると、本書はとても意義のある出版物だと評価できるんじゃないかと思います。

これから電子出版が益々普及するでしょう。こうやって世間に埋もれている知識が掘り起こされて流通していくことも容易になると思います。そんな時代が間近に迫っていると思うと、ワクワクしますね。

発行元のダイヤモンド社が運営するダイヤモンド・オンラインで、本書の「はじめに」全文と、本書には未掲載の「おわりに」に該当する文章が公開されています。こちらを読むと本書の雰囲気が大体掴めるんじゃないかと思います。

第1回 からっぽな人生を生きてきた (2013.03.05)
第2回 からっぽな人生を書いてみた (2013.03.12)

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