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気が付けばすでに今年度の弁理士試験合格者に対する実務修習が開始されていたようです。

特許事務所や企業の知財部で実務経験がある人も多いでしょうけれど、合格して初めて実務に触れる人もそれなりにいらっしゃることでしょう。実務修習の範囲も広いですから、普段は特許しかやってなくて商標の実務は初めてみたいな人も多いのではないでしょうか。

私が特許関係の仕事を始めて気がつけば2年半ほどになりました。基本的にはOJTで仕事を覚えて行きましたが、やはり体系的な理解に欠ける面は否めません。

その辺を埋め合わせるために私が読んだ実務系の書籍の中で、とりあえずこれだけ読んでおけば何とかなるんじゃね、と思う三冊を厳選してみました。基本的には国内の特許出願実務を行う人が対象です。あしからず。

新・拒絶理由通知との対話

三冊の中でもさらに一冊を選べと言われたら、これを推薦します。特許実務は大きく出願書類を作成する仕事と、特許庁からの拒絶理由通知に対応する仕事に分かれます。前者は「新規案件」、後者は「中間対応」などと通称されます。

出願書類は出願公開制度により誰でも参照できるようになっています。要するに、お手本になるサンプルが溢れている状態です。あまり慣れてない技術分野にあたるときには、同じ分野の過去の出願書類を参照して、真似してみるところから入るのが基本です。

一方で、中間対応の書類は一般には公開されていません。一応、審査関連書類は後々裁判になったときなどに参酌されるのでファイルされているのですが、閲覧請求しないと見ることはできません。つまり、お手本が限られた数しかないってことです。

本書は、特許庁の元審査官の方が中間対応はどのように行うべきか、拒絶理由ごとに記載したものです。語りかけるような平易な文章で書かれているのも好感が持てます。今だに思い出した頃にパラパラ眺めてみたりします。必携の一冊と言っても過言ではないでしょう。

日米欧三極共通出願時代の 特許クレームドラフティング

極論すると、特許の権利取得実務とは、請求項をどう書くかということです。請求項の記載が権利範囲を決めるわけで、明細書や図面は最終的に請求項をより有利な形に持って行くための道具と捉えるべきだと考えています。

本書は250ページほどの実務書としては薄っぺらい本です。でも、多くの留意事項が簡潔に詰め込まれていて、中味は驚くほど濃いです。次に挙げる同じ著者による書籍と併せて読んでおくとより効果的です。

日米欧中韓共通出願様式時代 特許明細書等の書き方

明細書の書き方は多くの本が出されています。特許庁からも多くの資料が出されています。ただし、ほとんどの資料は逐条的な書き方がされていて、この項目にはどういうことを書くかと言うことが丹念に記載されている場合がほとんどです。

本書の特色は、実際に明細書を書く弁理士や特許事務所員を対象にしたものではなく、発明者や出願人を対象にして、弁理士や特許事務所員によい明細書を書かせるために渡すドラフトをどう書くか、というところに主眼を置いているところです。

瑣末なことは置いておいて、特許明細書とは何なのか、その本質を伝えようとしていることが理解できます。何事においても最初の段階では本質を理解することが重要です。そういう意味で、本書はこれから明細書を書き始める人にとって一読しておくべき一冊としてお勧めします。

実務修習を受ける人が今からこれら全部読んで修習に活かすのは厳しいでしょうけれど、ある程度実務を経験してから改めて読んでみるとまた新しい発見があるはずですから、本気でこの仕事に入っていこうとする方には、黙ってこの3冊買っておけ、と言っておきたいです。

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  • たた

    本の紹介、とても助かります‼ ありがとうございます。 早速今夜、買って帰ります。

    先日、修習のテキストが届きました。現在はe-learningで受講中です。来月始まる実務修習も楽しみです。

    • たたさん、コメントありがとうございます。
      ちょうどタイムリーだったようでよかったです。
      年内は課題の提出が大変だと思いますががんばってください。