スポンサードリンク

いつも読んでいる登山関係のブログで取り上げられていたので観てきました。
映画『星の旅人たち』公式サイト

原題は『THE WAY』だそうです。こう言ったらなんですが原題の方が趣があって映画の内容をよく表しているように思えました。

東京では新宿武蔵野館とヒューマントラストシネマ有楽町の2館のみの上映だそうです。私は新宿武蔵野館で観て来ました。ロビーには癒しのアクアリウムが設置してありました。
20120617122113

世界遺産、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう800kmの道程の途中、志半ばで亡くなった息子の思いを引継ぎ、そのバックパックを背に旅することになった男の姿を描くヒューマンドラマ。
星の旅人たち | Movie Walkerより引用)

サンティアゴ・デ・コンポステーラはスペイン、ガルシア州の州都。大聖堂に聖ヤコブの遺骸が祭られていて1000年前からカトリックの巡礼地として人気だそうです。この映画ではフランスのサン・ジャンからピレネー山脈を越えて800kmを歩く巡礼路で、主人公トム(マーティン・シーン)と途中で出会う3人との道中を描いていきます。この巡礼路自体がユネスコの世界遺産に登録されているそうです。

映画のあらすじ自体は大きな山場はありません。旅の中で様々なバックグラウンドの4人が出会って摩擦を超えて理解しあって目的地のサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂へ至る過程を、これまた様々な立場の脇役たちを交えながら描いていきます。

一番の見所は全編を通して背景に描かれている美しい田園風景、昔ながらの街並み、遠くの山並み。スペインは欧州第4の経済大国なわけですけれど、これだけの距離の巡礼路が中世からのそのままに残されているのは驚きです。800kmというと東京から伊勢までよりもさらに長いのではないかと思いますが、江戸時代のお陰参りは江戸から片道15日間掛かったと言われています。この巡礼路では劇中で2ヶ月掛かると言われていました。さすがに現代に全行程を歩き通す人は多くはないと思うのですが、こういった文化的な背景があって欧米の人たちは毎年数週間のバカンスを取ることが通常になっているのかもしれません。

もう一つの見所は背景の違う登場人物たちの心の交流でしょう。主人公はカリフォルニアの眼科医。他の三人は、オランダの心優しい巨漢男性、カナダのバツイチでヘビースモーカーの女性、アイルランドのスランプ中の紀行作家。4人の旅を彩るのは巡礼路の宿屋主人たちやジプシーの一族。あまり外国人、特に欧州人との接触がない人生だと、それぞれが文化的な背景を抱えながら折り合いをつけていく姿は考えさせられるものがありました。

シナリオ自体は緩やかな感じでゆったりと展開していくのですが、飽きさせないのはキャストの演技力がレベルが高いことと、ところどころで心打つ台詞が散りばめていることだったと思います。特に心に残ったのはこの2つでした。(細かい言い回しは覚えていませんので、自分フィルターで都合の良いように解釈しているかもしれません。)

最初に泊まった宿屋の女主人が、巡礼路を歩いたことがあるかを聞かれたときの返答。
「ないわ。若いときは忙しかったし、今は疲れてしまうから」

もう一つはジプシーの父親が宴の最中に語る言葉。
「信心深いかどうかは宗教とは関係ない」

80人程度の劇場だったのですが、結構な入りだったと思います。できればデジタル上映で美しい風景を眺められればさらによかったのですが、知名度の高いキャストもマーティン・シーンだけですし、なかなかこの手の映画は客入りが期待できないんでしょうね。

実は、事前に映画関係サイトの評価があまり高い感じではなかったので若干不安だったのですが、ぜんぜんよかったです。最近は話題の映画はすぐにDVD化されるのでなかなか劇場に足を運ぶことがなくなってきたんですけれど、むしろこういう映画こそ劇場で観るべき映画なのかなと感じました。


ところでこの映画はPG12指定なんですけど何ででしょうか?オランダ人のヨストがドラッグをやるシーンが出て来るからでしょうか?

私などの感覚ではこの手の映画こそ子供たちに見せて考えてもらう方が教育にいい気がします。清濁併せ持つというか、人生について考えるにあたって綺麗ごとだけでは深い考えには至らないと思うんですよね。せっかくいい映画だと思ったんですが、こんなところでも残念な国・日本を意識せざるを得ず寂しい思いもしたのでした。うーむ。

LINEで送る
Pocket