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案の定というか当然のように、違法ダウンロード刑事罰化を含む著作権法改正案が、午前中に参議院文科委を満場一致で可決、午後には参議院本会議を賛成多数で成立しました。

違法ダウンロード刑事罰化・著作権法改正案が可決・成立 10月1日施行へ – ITmedia ニュース

違法ダウンロードに刑事罰を導入する著作権法改正案が6月20日午後、参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。ダウンロード刑事罰化などは10月1日に施行される。

政府案に対して自民公明の修正案が提出されて衆議院を通過した法案ですので、参議院でどんでん返しがあるとは正直思っていませんでしたし、改正案の内容についてはすでに記事にしていますのでここでは触れません。
私は違法ダウンロード刑事罰化に反対します

今回の改正は内容もさることながら、その立法過程も大変疑問視されるものでした。本日の国会運営を振り返って疑問に思ったことをまとめておこうと思います。

参議院文教科学委員会

ニコニコ生放送で中継されたようですが、就業時間中のため鑑賞できず。下記の実況tweetまとめを参考にさせていただきました。
違法ダウンロード刑事罰導入(著作権法一部改正)を可決@参議院文教科学委員会(2012/06/20) – Togetter

満場一致のからくり

森ゆうこ議員(民主)、草川昭三議員(公明)、はたともこ議員(民主)が委員を辞任されたそうで補欠の委員によって賛成票が投じられた結果、満場一致で採決となったようです。

森ゆうこ議員は以前からこの法案に反対の立場を表明していました。他のお二方は申し訳ないですが存じ上げないのですが、法案に対して反対であったのだろうと推察します。

辞任する理由がよくわかりません。なぜ反対票を投じることができなかったのでしょうか。棄権はできないのでしょうか。委員会での採決にも党議拘束が掛かるのでしょうか?

少なくとも良識がある国会議員がいたことを国民に示すためにも結果に残る意思表示をすべきだったと思います。

※追記
参議院本会議での投票結果が出ていました。
本会議投票結果:参議院ホームページ
共産党・社民党の他で反対票を投じたのは森ゆうこ議員(民主)と糸数慶子議員(無所属)とのこと。意外と自民党に棄権票が多いです。ちなみに、はたともこ議員(民主)は賛成、草川昭三議員は棄権のようです。
この投票結果を見て感じるのは、ほとんどの国会議員にとってはどうでもいい法案だったんだろうな、ということです。

実質的な討議はなし

昨日の参考人招致は何のためにやったんですかね。ただのパフォーマンスでしたか。

付帯決議が必要な法案を通すな

施行・運用に当たって政府や関係者が配慮すべき事項を示した付帯決議案が議決されました。

1)障害者の情報アクセスを保障し、情報格差を是正する観点から、録音図書等の作成を行うボランティア活動がこれまでに果たしてきた役割に鑑み、ボランティア団体が法人格の有無にかかわらず円滑にその活動に取り組めるよう努めること。

2)視覚障害者等への情報提供の充実に資するため、作成された録音図書等が有効活用できるよう、視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者のネットワークの構築に努めること。

3)違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性に対する理解を深めるための啓発等の措置を講ずるに当たって、国および地方公共団体は、有償著作物等を公衆に提供し、または提示する事業者と連携協力を図り、より効果的な方法により啓発等を進めること。

4)有償著作物等を公衆に提供し、または提示する事業者は、インターネット利用者が違法なインターネット配信等から、音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することを防止するための措置を講ずるように努めること。

5)著作権法の運用に当たっては、犯罪構成要件に該当しない者が不当な不利益を被らないようにすることが肝要であり、とりわけ第119条第3項の規定の運用に当たっては、警察の捜査権の濫用や、インターネットを利用した行為の不当な制限につながらないよう配慮すること。

6)付随対象著作物の利用に係る規定である第30条の2、検討の過程における利用に係る規定である第30条の3、技術の開発または実用化のための試験の用に供するための利用に係る規定である第30条の4、および情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用に係る規定である第47条の9については、関係者から、その具体的な内容が条文からだけではわかりにくいとの意見等があることを踏まえ、これらの規定の対象となる具体的な行為の内容を明示するなど、その趣旨および内容の周知を図ること。

7)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の運用にあたっては、出版市場、とりわけ今後の発展が期待されている電子書籍市場等に不当な影響を与えないよう留意すること。

8)デジタル化ネットワーク化の進展にともない情報化が急速に進展する中、著作権に関する知識が多くの国民にとって必要不可欠のもになっていることに鑑み、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発活動に努めること。

要するに運用次第では問題が起きる可能性があることを立法府自体が認識しているということだと思います。

私は今までできるだけ恣意的な運用がされないような制度設計を含めて検討した上で法改正をするのが国会の責務だと理解していました。このような付帯決議が必要となるような法案を通すことについて満場一致で決議されたことに愕然とします。

業界団体さんが何か言ってる

一般社団法人 日本レコード協会|プレスリリース

【北川会長コメント】
 このたび、「私的違法ダウンロード」への罰則の導入を含む著作権法の一部を改正する法律案が可決、成立し、今年10月1日から施行されることとなりました。これもひとえに、関係各位のご理解とご支援の賜物と感謝申し上げます。
 今後は、改正法の趣旨を広く皆様にご理解いただくための広報活動を積極的に行うとともに、ユーザーに対するよりよいサービスの提供に一層努めて参ります。
 今回の法改正によりインターネット上で蔓延する著作権侵害行為が減少し、健全なインターネット社会が実現することを期待するとともに、新たな音楽・映像の創作活動に一層努めて参る所存です。

会長のコメントは上から下まですべて法案を通していただいた国会議員の皆さまに対して向けられているようです。この人は自分が誰を客にして商売をしているのか理解できていないようです。経営陣がこのような考え方をしている業界は何をしたところで消費者に受け入れられることはないでしょう。

この一件で一番の被害者はアーティストの皆さんなんでしょう。せっかくいい音楽を作っても消費者の目が向かない環境を周りの大人たちが作ってしまったわけですから。

本当に残念です。残念でなりません。

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