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日常的に多くの文章を書く仕事をしているもので、正しい日本語を身に付けたいと常々思っています。自分の学生時代を振り返ってみると、特に高等教育以降はほとんどの課程で対象とするのは日本語の読解力を高めるためのものだったように思います。もちろん大学では試験は小論文を書くわけなのですけれども、そこで問われるのは内容が正しく論じられているかであって、日本語として明瞭であるかとか表現が適切かとかはほぼ問題視されません。日本語として意味が通るような文章を書くために気を付けるべきことというのは、実は学校教育の中ではまともに教わることがなかったような気がします。

本書は、大学教授や国立国語研究所研究員が「悪文」を類型化してその原因を説いています。様々な出典から例文を引いてきて、悪文のタイプに分けて論評していきます。普段、私たちが読む文章は一定の固まりで同一の著者が綴るものですので、若干おかしな癖のある人であっても好意的に解釈できてしまいます。多少変な日本語であっても読むに堪えないということはそうそうなくて、何となくこんなことを言いたいのかな、くらいで脳内補完して読み飛ばしてしまうわけです。本書では、そのような悪文を切り出して解説していきます。多くの言語学者が章ごとに分担しているので、極力好意的に受けとめようとする優しい人もいれば、問答無用で切り捨てていく人もいます。個人的には、「言葉を選ぶ」(水谷静雄教授担当)の章が面白かったですね。

本書で取り上げる例文は新聞や雑誌など文章を書くことで飯を食っている人たちの文章も多く取り上げられていて、このような人たちでも変な癖が付いていたり、うまい日本語が書けなかったりするというのは、少しだけ心休まる面もあります。自分は、最終的には、正しく美しい日本語を身に付けるためには、良質な文章を大量に読むことを超える方法はないと思っています。しかし、本書のように体系的に「よろしくない日本語」を見ることも一つの道筋を知るために悪くないと思います。

ちなみにこの本は某書店の司法試験対策コーナーに置かれていたことで手にすることになりました。確かに、各種資格試験の論文試験対策として一読しておくのは悪くないかもしれません。最近はネット経由で本を買うことも多くなっていますが、リアル書店を巡るとこのような思いがけない出会いがあって、それはそれで面白いですね。

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