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何気なく質問されてよくわからなかったので調べました。

特許の明細書には、発明の詳細な説明を書くことになっています。発明の詳細な説明の書き方も書式が決まっていて、平成21年1月1日以降は三極共通出願方式という日米欧で共通の書式を利用することになっています。簡単に言えば、従来は、請求の範囲→明細書→図面→要約書、の順で書いていたものを、明細書→請求の範囲→要約書→図面、の順に変更されています。明細書の中の記載順序も大きく変更になっています。

明細書の中で発明の具体的な内容をみっちり書くのが【発明を実施するための形態】の欄です。一つの発明の実施形態が複数ある場合には、【実施例1】、【実施例2】、…と分けて書くことが多いですが、[第一実施形態]、[第二実施形態]、…などと書かれている場合も多いです。

この使い分けをどうすべきか、ということを聞かれたわけです。「どっちでもいいんじゃね?」とは思いつつ、何か意味があるんだろうと思い暇だったので調べてみました。

まず各種資料を確認してみました。知的財産権制度説明会のテキストにはこのように書いてあります。

参考:平成25年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト II 様式編 1 特許

【発明を実施するための形態】
【実施例】
通常の技術的知識を有する第三者が、当該発明を実施できるように、特許出願人が最良と思う発明の実施の形態を【実施例】として具体的に記載します。

2009年1月1日に三極共通出願様式へ移行に際に特許庁が公表した資料にはこのように記載されています。

参考:特許出願の「明細書」の作成要領は?(平成21年1月1日以降適用)

(6)【発明を実施するための形態】、【実施例】
特許を受けようとする発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が当該発明を実施することができるように、発明をどのように実施するかを示す発明の実施の形態を【発明を実施するための形態】に記載し、必要があるときはこれを具体的に示した実施例を【実施例】の見出しをつけて記載します。その発明の実施の形態は、特許出願人が最良と思うものを少なくとも一つ掲げて記載します。

違いがありそうな感じのことが少しだけ書いてありますが、これでは漠然とし過ぎてよくわかりません。「必要があるときはこれを具体的に示した実施例」とは何でしょうね?

はっきりしないのでGoogle先生に聞いてみました。すると、教えてGoo先生を紹介していただけました。やはり同じ疑問を持つ人が世の中にはいるものです。自分の場合は、自発的に疑問を持ったわけではないけれど。

出願される分野がわかりませんので的はずれになるかもしれませんが、化学特許の場合を例にしますと、
「実施の形態」 
一般的に出願の内容を実施する場合の必要要件をいいます。
特許出願内容を必要要件全てを示す箇所です。 従って最も重要な箇所といえましょう。

「実施例」
具体的な数値、条件、順序、原料などを記述した例を示す箇所で、そのとうり実施すれば特許出願の内容が再現出来る例を示す箇所です。
従ってだれでも再現出来る必要があり、不明確な表現や解りつらい表現はゆるされません。
従って「実施の形態」で「高温に加熱」で許される表現でも「実施例」では数値で示さなければなりません。

(発明の実施の形態と実施例の違い – 特許 – 教えて!gooより)

自由に書いて構いません。発明の実施の形態がなくてもOKですし、実施例がなくてもOKです。

慣行としては、発明の実施の形態には、図面に基づいた具体的な説明を記載し、実施例には実験例などを記載することが多いです。

これらの欄の他の使い方として、実施例の欄に図面に基づいた具体的な構造などを記載し、発明の実施の形態には、請求の範囲に記載した発明と、実施例に記載したものとの中間的な概念の発明を記載するということもできます。
その他にも、請求項1に記載した発明を発明が解決しようとする課題の欄に記載し、請求項2以下の下位概念の発明を発明の実施の形態に記載するということもできます。

要するに、その発明を説明するために明細書全体としてわかりやすく記載されていれば良いわけです。

(発明の実施の形態と実施例の違い – 特許 – 教えて!gooより)

自分の理解で整理すると以下のような感じかと思われます。

実施形態 = 発明の概念を最大限広く解釈できるように全体の構造を記載する
実施例 = 構成要件の具体的な設計を記載して間違いなく実施可能な構成を記載する

別に法律や規則や審査基準で定まっているわけでもないので、この辺の使い分けがなってないからと言って不利益を受けることもないですし、そんな形式的なことにこだわるくらいならもっと本質的なところで知っておくべきことがいっぱいあるんだろうと思いますけれど、細部にわたって明確な基準を自分なりに持っていると慣れない分野の仕事が来たときも効率的にこなせるんじゃないかと思いました。

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