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あらかじめ現時点の私の原発に対する考え方を表明しておきます。

賛成か反対かと言われると、反対です。だからと言って即時に全面的に原発を廃止すべきとは考えていません。本当に電力が足りないのであれば代替エネルギーの目処がつくまで最低限の原発を稼働させることは致しかたないことだと思っています。電力が足りるか足りないかは、通常の文明的な生活や経済活動が維持できる範囲と考えています。2011年の夏のように節電のために企業が営業日をずらしたり、一緒にいたくもない家族が一つの部屋に閉じこもったり、無理をしなければ賄えないのであれば無理をしなくてもよくなるまでの間、原発を利用すればいいだろうと思っています。

しかしそれはあまり長い期間であってはならないと思っています。政府には、可及的速やかに明確な日付を打っていつまでに原発を廃止するのか、それまでにどんな手順が必要なのか、ロードマップを示していただきたいです。せっかく停止した原発が一部再稼働することに対して、急進的な原発反対派の皆さんが声を上げるのは理解できるし、ある程度は必要なことなのだと思うのですが、個々の原発を動かす動かさない、の話で政治的な体力を削ぎ落として本来の大筋の議論をできない状況に追いやるのは正しい方向性ではないようにも思います。

私は原発の安全性についてはそれほど心配していません。あまり原発について多くのことを把握しているわけではないのですが、とりあえず大前研一さんが大飯原発は大丈夫と言っていたので大丈夫だと信じています。

しかし原発を早急に廃止すべきと考えるのは、その放射性廃棄物の処分方法が技術的に確立されていないことが一番の問題だと思うからです。日本は今までプルサーマルによる核燃料サイクルの実現を夢見て多額の研究開発費を投じてきました。福島第一原発事故以降多くの報道がされ、ほとんどの国民は核燃料サイクルなんて夢物語で完全に破綻していることを理解しました。でもいわゆる原子力ムラの人々はいまだに夢を見続けています。

原子力委が核燃料サイクルで3つの選択肢 | エンタープライズ | マイナビニュース

原子力委員会は21日、核燃料サイクル政策のありかたについて、使用済み核燃料を「全量再処理せず処分」「再処理とそのまま処分の併存」「全量再処理」の3つを選択肢として示した。

原子力委員会の「核燃料サイクル政策の選択肢」決定について

 本日、原子力委員会が、核燃料サイクル政策の選択肢について取りまとめられた。
 私どもとしては、わが国が技術立国として10年先、20年先も一流国であり続けるためには、原子力は今後も一定の役割を果たすべきであり、その際、資源を有効利用するという観点と、放射性廃棄物の減容による環境への負荷軽減という観点から、これまでと同様、「全量再処理」路線を選択すべきと考える。
 今後の議論にあたっては、政策変更に伴うコストや、立地地域の皆さまの思いなどをしっかり受け止め、是非ともわが国の将来の視点に立った冷静で現実的な検討をお願いしたい。

そんな背景を踏まえつつ、以前から気になっていた映画『100,000年後の安全』を観ました。

映画『100,000年後の安全』
映画『100,000年後の安全』公式サイト

現在は劇場公開は行われていません。DVDを借りようと思ったら見つからなくて、さすがに買うのもなーと思っていたのですが、Gyaoで有料ですが公開されているのを発見しました。420円/7日間でしたよ。

100,000年後の安全(劇場公開同時配信作品)

一応概要を説明すると、フィンランドで建設中の高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場「オンカロ」について、計画の全体像や現在の進捗状況、なぜ地層処分という選択肢を選択したのか、今後懸念される点、などを関係者にインタビューするドキュメンタリー映画です。

高レベル放射性廃棄物は無害化するまで10万年を要します。宇宙空間に打ち上げるには途中で爆発墜落するリスクが大きい。海中に沈めるには10万年間安全な状態で存置できるか技術的な確証がない。少なくとも現時点では技術的に再処理は不可能だけれど、もはや国内には保持しきれない放射性廃棄物が溢れ返っている。

フィンランドは比較的地質が安定していて地中であれば少なくとも10万年後まで安定した状態に保てると考えられているそうです。一方で人類が10万年後まで連続した文明を維持できるかは不確定要素が多い。特に6万年後には氷河期が訪れると予想されていて、現在文明が発展している地域は人類が居住できない可能性がある。だから管理のために人手に依存しない方法を取らなければいけない。また、知識の連続性が断たれると将来の人類が不用意に放射性廃棄物に触れてしまう可能性も否定できない。まだまだ多くの検討しなければいけない課題があるのです。

実は私が一番驚いたのは、この壮大な計画でも貯蔵できる放射性廃棄物はフィンランド一国で発生した量だけなのだと言うことです。確かに大きなリスクを背負ってまで他国の放射性廃棄物まで受け入れる義理はないわけで、その判断は妥当なものだと思います。

転ずると仮に地中処分をするにしても日本は独自にその用地を工面しなければいけないということになるのでしょう。例えばシベリアとか人のほとんど住まない土地で処分させてもらったりとか期待しちゃいますけど、相当タフな外交交渉になるのでしょうね。代わりに北海道差し出せ、くらいのことを言われるんでしょうか。

私の現時点の考えでは、やはり地中処分しかなかろうと思っています。日本は国土が狭い上に活断層の真上に位置していますから貯蔵施設の立地はそうとう難しい判断に迫られると思います。現時点で相当量の放射性廃棄物が原発内に貯蔵されていることを考えると一刻も早く原発は廃止してこれ以上の放射性廃棄物の”生産”を止めなければいけません。

原発推進派も脱原発派も、ぜひ一度観て欲しい一本でした。

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