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シネマ歌舞伎というものがあることを知りました。歌舞伎の舞台を収録した映像を映画館で上映する企画で、松竹が配給しています。

従来のビデオカメラでは歌舞伎の舞台は照明も暗く満足に撮影できなかったようですが、HDデジタルカメラの開発とデジタルプロジェクタの普及によって実現したようです。

シネマ歌舞伎を鑑賞しました

自分は文化的な活動に歌舞伎どころか演劇、ミュージカル、コンサートなど生の興行というものはほぼ鑑賞した経験がありません。簡単に言えば、一緒に行ってくれる人がいないから。昨今では映画館なら一人でも抵抗なく訪れることができます。いい時代になりました。

現在、歌舞伎座のこけら落とし記念で『月イチ歌舞伎』という企画が行われています。一年間毎月一週間ずつ異なる題目を上映するというものです。スタンプを集めて応募すると抽選で歌舞伎座へご招待とのことです。

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ちょうど今週は六月の興行で『刺青奇遇(いれずみちょうはん)』を上映していましたので、観に行ってきました。

あらすじはこんな感じです。

生来の博打好きで江戸を追われた半太郎は、身投げした酌婦のお仲を救う。不幸続きの人生を送ってきたお仲は、本当の親切心から自分を救ってくれた半太郎の心根の美しさに胸を打たれて、生まれて初めて会った男らしい男、半太郎の後を追う。

こうして半太郎とお仲は夫婦となるが、半太郎は博打を止められない。やがて死病に罹ったお仲は半太郎の行く末を心配し、博打を止めて欲しいと願って半太郎の二の腕に骰子(サイコロ)の刺青を彫る。

博打を断った半太郎だが、この世の名残にお仲に良い思いをさせたいと博打に出かけ、賭場に難癖をつけ叩き出されてしまう。ところが、鮫の政五郎親分から意外な話を持ちかけられ、お仲のために、政五郎親分との命を懸けた勝負に挑むことになり…。
(刺青奇偶 | 作品ラインアップ | シネマ歌舞伎 | 松竹より)

半太郎に故中村勘三郎、お仲に坂東玉三郎、政五郎親分に片岡仁左衛門と、無知な私でも名前は聞いたことがある豪華キャスト。2008年4月に収録とのこと。勘三郎さんの生前の姿が観られるのは貴重ですね。

演目について講評するような素養もありませんので、ざっくりと感じたことなどを書き連ねてみようと思います。

歌舞伎は大衆芸能

歌舞伎座の威圧的な建築の印象があって、歌舞伎って何となく高尚な趣味のような印象を持っていましたけど、庶民の人情を描いたシナリオやセリフ回しなど、大衆の娯楽なんだな、ということを気付かされました。

シネマ歌舞伎では実際の劇場内で撮影しているので、観客の拍手や掛け声も収録されているんですが、勘三郎さんが舞台に出てくると掛け声が上がったりするんですね。『8時だョ!全員集合』を思い出しました。「志村!後ろ!後ろ!」みたいな。率直に言ってあまりお行儀のいい鑑賞態度とは言えません。

考えてみると、普段は汗にまみれて貧乏暮らしをしている町人が、現実を離れて余暇を楽しむものだったのでしょう。だから、あんな無駄に豪華な建築になったのかもしれません。そういう点ではキャバクラのシャンデリアと変わらない。

もっと若い人向けにアピールしたら?

月イチ歌舞伎は松竹系のシネコンMOVIXで上映されています。MOVIXはあまり都心にはなくて、23区内だと亀有にしかありません。私は京王線沿線なので橋本まで行きました。日曜の10時からだからか、観客は年配の女性がほとんど(8割くらい?)でした。

私は思うんですが、こういう企画ってファン層の裾野を広げる方向に進めないと意味ないんじゃないでしょうか。たぶん現在でも歌舞伎を観に行く人って割と高齢なハイソな方々だと思っていて、もっと弱年層に観てもらえる仕掛けをしてもいいと思うのでした。例えば、1スクリーンでも都心の劇場で上映するとか、週末だけでも午後に上映するとか。

現在年配の客が集まるのは若い時分から歌舞伎を観た経験があるからで、10年後の年配者が自然と歌舞伎を観るようになるとは思えません。本丸はやはり劇場で生の上演を観に人が集まることで、その入り口としてシネマ歌舞伎をもっと活用できたらいいんじゃないかと勝手ながら思うのです。

調べてみると2005年から定期的に上映はしているから、いろいろ試した結果こうなっているのかもしれません。営利企業だから仕方ないとは言え、勿体ない話だなぁと思いました。

まさにクールジャパン

最近は安倍内閣の成長戦略でクールジャパン戦略が脚光を浴びているわけですが、まさにこういうのこそクールジャパンだよなぁと思うのです。

思い返すと、2008年にドイツに出張で行ったとき、ちょうど平成中村座のベルリン公演があって、街中でよくポスターを見掛けました。国際的な競争力のあるコンテンツの一つとして、海外展開できる力を持っていると感じました。

でも、そのためにも日本人自身がその良さを理解しておくべきだとも思うのです。外国人にあの演目はどうたらこうたら意見を求められたときに何も言えなかったら恥ずかしいですからね。

『月イチ歌舞伎』の今後の予定だけまとめておきます。詳しくは公式サイトをご確認ください。

日程 演目 出演
2013年7月6日(土)
~7月12日(金)
怪談 牡丹燈籠 片岡仁左衛門、坂東玉三郎ほか
2013年8月31日(土)
~9月6日(金)
野田版 研辰の討たれ 中村勘三郎、坂東三津五郎ほか
2013年9月21日(土)
~9月27日(金)
京鹿子娘二人道成寺 坂東玉三郎、尾上菊之助ほか
2013年9月21日(土)
~9月27日(金)
鷺娘/日高川入相花王 坂東玉三郎、尾上菊之助ほか
2013年10月19日(土)
~10月25日(金)
野田版 鼠小僧 中村勘三郎、坂東三津五郎ほか
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