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全然気づいてなかったのですが、2013年6月14日に平成25年度の弁理士試験短答試験の合格発表があったとのことを知りましてちょっと覗いてきました。

今年の合格基準点は39点、合格者数は434名とのことです。

簡単に試験制度を説明します。弁理士試験は工業所有権審議会の主催により年一回行われる国家試験です。短答試験、論文試験(必須、選択)、口述試験と、三次試験まであります。ただし、多くの免除制度があるため、一年の内に4つの試験をすべて受験する人は滅多にいません。

今回はその内の一次試験である短答試験の合格発表があったということです。

短答試験は3時間30分の中で60問に解答する多肢選択式試験(要するに、マークシート)です。合格基準点は65%を基準として合格者数を勘案して調整可能となっています。

ちなみに昨年までは60%が基準となっていたので、今年から試験が難化することは事情通の間では周知の事実ではありました。

近年の合格者数の動向

どの辺が衝撃かはここ数年の合格者数、合格率を見ていただくのが手っ取り早いと思います。表にしてみました。

年度 受験者数 合格者数 合格率 基準点
H19 9,077 2,678 29.5% 39点
H20 9,679 2,865 29.6% 39点
H21 7,345 1,420 19.3% 37点
H22 6,582 899 13.7% 39点
H23 6,377 1,934 30.3% 39点
H24 5,255 1,374 26.1% 37点
H25 4,734 434 9.1% 39点

平成22年だけ極端に合格率が低下していますが、これを除けば概ね30%近く合格していた試験でした。今年は突然に合格者数が激減し、10%を切りました。大虐殺と言っていい状況だと思います。

出題された試験問題は見ていないのですが、特に今年は問題が難しかったと聞いています。弁理士試験の短答試験では「いくつあるか問題」というものが出題されます。これは5つの枝の中に「正しい枝はいくつあるか」「誤っている枝はいくつあるか」を答えるというものです。これは5つの枝すべてに正しく○×を判断しないといけないことです。極端なことを言えば60問すべてが「いくつあるか問題」だとすると、60問×5枝=300枝について3時間30分の内に○×を判断しなければいけないということです。1枝につき42秒ということです。

今年はこの「いくつあるか問題」がとにかく多かったと聞いています。

試験が難化した原因

今年突然に試験が難化した原因はいくつか考えられますが、一番大きいのは弁理士登録者数が一万人を達成したことだと思います。

弁理士試験はここ数年(平成17年あたりから)大幅に合格者数を増やしてきました。これは司法試験や会計士試験と同様に規制緩和の流れの一環だと思います。

その中でも弁理士試験は、小泉政権下の知財立国宣言により、弁理士登録一万人が数値目標として掲げられてきて、これを目指して多くの批判や弊害の中でも高い合格者数を維持してきました。

で、今年4月に平成24年度の合格者が登録された結果、無事に弁理士登録一万人を突破しました(2013年4月30日現在、10,195名)。

一応これで当初目標としていた人的補充は完了し、今後は質の向上を目指すフェーズに入ったということなのだと思います。

今後の展開

私見ですが、二次試験である論文試験、三次試験である口述試験は、いずれも昨年より難化すると思います。国内の特許出願件数が頭打ちの中で長年の数値目標を達成した以上、例年並みの合格者を出す必要性がありません。弁理士会からの抵抗もこれまで以上に激しくなっているはずです。

日本弁理士会は弁理士試験合格者数は220名が適正な人数だと主張しています。ちなみに平成24年の最終合格者数は773名、ここ数年は700~800名くらいで推移していました。ぶっちゃけ500人切ることもあり得るかもしれません。

弁理士会の主張はこれ→5.弁理士試験合格者数に関する提案(知的財産政策ビジョン関連)P.11

実際問題として、日本企業は知的財産の中でも特許を偏重してきたので、日本の弁理士の仕事も特許関係がほとんどです。特許の仕事は技術的な素養が必要とされる一方で、弁理士試験は論文選択試験を除いて法律試験なので、合格しても技術的な素養が足りずに就職できない人や試用期間でクビになる人が多く出ています。

参考リンク:はじめまして – 弁理士未登録者の会

弁護士や会計士と較べてあまり問題にならないのは資格自体があまり一般に馴染みのない仕事であることも一因ではありますが、技術的な素養がある人にとってはまだ問題なく就職できる環境が残っているということもあります。つまり不合格になることに対して自他共に納得感があるということです。

語弊があるかもしれませんが、弁理士の実務に耐える素養がない人も合格してしまっている、という現状があります。裏を返せば、弁理士の実務に本当に必要な試験制度になっていない、ということでもあります。

弁理士試験制度は来年から大きく変わることが予想されていて、現在も議論が進められています。今後どのような方向で議論が進んでいくのかはわかりませんが、既得権者に捻じ曲げられずに適正な試験制度になることを望みます。

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  • 鎖国大好き

     この記事の作成者は、鎖国好きな弁理士が書かれたものと断言できます。

     弁理士が、弁理士試験に関与すること自体、おかしなお話で、能力がな

     い、能力に自信がない弁理士ほど、弁理士試験の合格者増加を反対しま

     す。

     こんな記事を書く時間があれば、ほかの能力を身につける努力をおすすめ

     します。

    • 鎖国大好きさん、コメントありがとうございます。
      改めて記事を読みましたが、弁理士試験の合格者増加に反対とは一言も書いていないことを確認しました。
      反対しているのは日本弁理士会であって、そのパブコメを引用しただけですね。
      他人を批判する前に正常な読解力を身に付けられることをお勧め致します。

  • Pingback: 弁理士論文試験、合格者数4割減の必然 | やめたいときは やめるといい。()