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米フェイスブックの最高執行責任者(COO)、シェリル・サンドバーグさんの著書を読みました。本書の副題は「女性、仕事、リーダーへの意欲」です。これが本書の全体を貫く大きなテーマになっています。

シェリル・サンドバーグさんは1969年生まれの44歳。ハーバード大学の在学中、後に財務長官となるローレンス・サマーズに出会い世界銀行に勤務。その後ハーバードビジネススクールでMBAを取得。卒業後はマッキンゼーを経て、ローレンス・サマーズ財務長官率いる財務省に勤務。2001年から2008年まではグーグルの副社長としてグローバルセールスを統率。2008年以降はフェイスブックで現職を勤めています。

本書の主張は、かつて彼女がTEDで行った講演『何故女性のリーダーは少ないのか』に凝縮されています。超有名な講演なので見たことある人も多いんじゃないかと思います。本日時点で280万弱の再生がされていました。

私は就職して長くエンジニア職をしてきたので、あまり女性の多くない職場で働いてきました。元々男兄弟で生まれ育ち、その上で男子校に通いましたから、女性の考え方とか習性みたいなものには致命的に理解が足りていません。

本書の主張は明快です。男女が真に平等な社会を手に入れるために、女性たちが内なる障壁を打破しなければいけない、ということです。女性たちは様々な場面で一歩引いてしまう傾向が見られることが知られていて、本書の中でも著者自身が体験した実例を交えて説明されています。そうした内なる障壁が女性の社会での出世を妨げていて、結果として女性たち自身の首を絞めていると言います。

真に男女平等な社会を手に入れるためには、女性のリーダーがもっと増えなければいけない。そのためには女性たちが男性と同じように積極的に仕事で実績を上げていかなければいけないと、それが根底の主張であると理解しました。

本書は私の従来持ってきたフェミニズムの主張とは一線を画すものです。本書の中でも著者は旧来のフェミニズムに対して疑問を呈する場面もありました。結局のところ、旧来のフェミニズムは機会の平等というか形式的な平等を求めて闘ってきたのだろうと思います。現代ではすでにこれらは達成されていて、そうした社会の中で男女の性質の差を互いに理解した上で、お互いが最大限の力を発揮できるように実質的な平等を求める段階に入ってきているということなのだろうと感じました。

本書の指摘は極めて明快で、少し辛辣です。一つ心に残ったのは、女性を非難するのは女性であるという話です。多くの女性は仕事か家庭かを選択し、いずれかを自ら諦めてしまっている。そうした女性が仕事も家庭も両立させようとする女性たちをより強く非難していると言います。

先日フィギュアスケートの安藤美姫選手が密かに出産していたことを告白してちょっとした騒動がありました。私は若い女性たちが口汚く彼女を罵る場面を見て少なからずショックを受けました。しかしこれも既定路線というか、当然の流れなのだと理解できました。そして女性に対する不信感をより深めることになりました。

本書のタイトル『LEAN IN』は「一歩踏み出す」という意味です。まずは女性たちが勇気を持って一歩を踏み出すのが重要なのだと、彼女は言っているのでした。

本書が日本でどのような層に読まれているのか私にはわからないのですが、私は、男性こそが読むべき本だと思いました。まずは組織を運営するリーダー的地位にいる男性こそ一番に読んで学ぶべきことだと思います。あとはこれから子育てに臨む若い男性、特に共働きでやっていく予定の男性の側が理解しておくとより家庭円満によいのではないかと思います。

私個人的には特に子育てをする予定も、組織を率いるような立場になる予定もありませんが、少子高齢化が進む中で女性がいかんなく持てる力を発揮できる世の中になってくれると、私の老後も少しは安心感が増すのになぁと思うのでした。

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