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2013年11月7日、平成25年度弁理士試験の最終合格発表がありました。

弁理士試験は工業所有権審議会の主催により年一回行われる国家試験です。短答試験、論文試験(必須、選択)、口述試験と、三次試験まであります。今回は3つの試験すべてを合格した最終合格者の発表があったということです。それはすなわち、10月に実施された最終関門、口述試験の合格発表でもあります。

公表された結果は以下の通りです。最終合格者数は715名でした。

1.平成25年度弁理士試験の結果概要
  志願者数7,528人(対前年比5.1%減)
  受験者数6,780人(対前年比6.2%減)
  受験率(受験者数/志願者数)90.0%(前年は91.2%)
  最終合格者数715人(対前年比7.5%減)
  合格率(最終合格者数/受験者数)10.5%(前年は10.7%)
  最終合格者平均受験回数4.80回(前年は4.13回)

(平成25年度弁理士試験の結果についてより)

ここ数年の口述試験の結果だけをまとめてみました。

年度 受験者数 合格者数 合格率
H19 659 613 92.1%
H20 648 574 87.7%
H21 1,019 813 79.3%
H22 1,048 756 70.1%
H23 1,006 721 67.1%
H24 1,134 773 63.4%
H25 825 715 82.9%

※合格者数を受験者数で割った値と合格率が異なるのは工業所有権法免除者(特許庁審査官など)が合格者に含まれているからです。

平成21年以降に急激に受験者数が増え、それに合わせて(というよりも、それがために)、合格率が5年の間に90%台から60%前半まで低下しました。ところが、今年は受験者数(すなわち論文試験合格者)がだいぶ減り、合格率が急激に高くなりました。

私は論文試験の合格発表の後に、今年の最終合格者は500人台の後半くらいじゃね?と予想しました。大外れもいいとこです。穴があったら入りたい。

昨年の口述試験の合格率は63.4%でした。受験指導に関わっている知人に聞く感じでは、受験生のレベルは昨年から上がっている印象はないようです。口述試験は受験生の評価が各科目3段階ですから、合格者間の調整が利かない試験です。おそらく合格率は例年通り60~70%あたりに落ち着くでしょう。受験者数が905名とすれば、543~633人です。

そんなわけで、私は、最終合格者数は500人台の後半と予想します。

今年の弁理士試験は前年までの4年間と大きく傾向が変わりました。短答試験、論文試験の合格者数はそれぞれ7割、4割と減少しました。一方、口述試験の合格率は急上昇して最終合格者数は例年通りの700人台となりました。

なぜこんなことが起きたのでしょうか。

ここ数年、口述試験の合格率が急低下したことに対して多くの批判がありました。口述試験は数日掛けて実施されるため受験生によって出題が異なります。また、試験官も特許庁職員、弁理士、学者など様々なバックグラウンドの人が混ざっています。試験官の個人差も大きく、当たった試験官によって合否が大きく左右されます。端的に言えば、極めて公平性が欠ける試験形態です。そのような試験で受験者の3分の2を不合格とするのは国家試験として適切ではないのではないか、ということです。

試験を運営する工業所有権審議会としても、この状況を修正したい意図があったのではないでしょうか。つまり、口述試験の合格率をリーズナブルな値(おそらくH20年以前の90%前後あたり)に戻すために採点基準を緩めにしたのではないかと言うことです。

幸いなことに、昨年4月に弁理士登録数は長年の目標であった1万人を突破しました。国内の特許出願数が低位安定する中で、これ以上の合格者の増加は望まない既得権者は大量にいます。口述試験の合格率を上げつつ最終合格者数を押さえるには、当然口述試験の受験者数を絞るしかありません。つまり、論文試験の合格者数を減らす必要があります。

ところで、昨年の口述試験では361名が不合格となっています。口述試験に不合格となると、ほとんどの人は翌年も口述試験のみの受験となります。つまり口述試験対策のみに1年を掛けてきた受験生がそれだけいるということです。従来より採点基準を緩めれば、これらの人は問題なく合格を手にするでしょう。さらに今年初めて口述試験を受ける人も昨年まででは不合格だったレベルの人も合格を手にしたかもしれません。

これらの事情があいまって最終合格者数は例年通りとなったのでないかと推測します。つまり、今年、短答試験、論文試験と合格者を絞ったにもかかわらず最終合格者数が例年通りだったのは、昨年までの口述試験不合格者数が多過ぎた結果なのです。

今年の口述試験の不合格者数は110名でした。来年も論文試験の合格者数を500人程度とすれば、口述試験の受験者数は600名程度となります。口述試験の合格率が90%なら最終合格者は540名程度になります。

弁理士会は毎年の合格者数は220名程度が適正と主張しています。これは弁理士登録1万人を維持して、実稼働40年と考えたときに高齢による引退などの自然減が毎年この程度であろうという予測が根拠になっています。引退するような高齢の方が弁理士になった当時はほとんどの人が特許事務所等で独占業務に従事していたはずです。近年は企業内弁理士も多く活躍されており、独占業務に従事することのみが弁理士の仕事ではありません。実際には弁理士となる資格を将来の保険のために取得する若い人も多く、試験に合格しても登録しない人も結構な割合になっています。220名が適正だとしても合格者数はそれよりも大目にすべきでしょう。

個人的な感覚としても500名前後の合格率というのは現在の業界動向にマッチした数字のように思えます。ボーナスステージは今年で完全に終結したと思っていいんじゃないでしょうか。

そんなわけで、私は来年の弁理士試験の最終合格者数を550名前後と予想します。当たったら何かください。


参考記事

弁理士短答試験、合格者数7割減の衝撃
弁理士論文試験、合格者数4割減の必然

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