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2014年1月23日、猪瀬直樹前知事の辞職に伴う東京都知事選挙が告示されました。主な立候補者と告示前日に開催された記者会見の内容は以下のとおりです。

舛添要一氏「原発だけが東京の問題ではない」 東京都知事選【会見速報】

細川護熙氏「原発ゼロこそ最重要テーマ」 東京都知事選【会見速報】

宇都宮健児氏「今回の都知事選は異常。AKB総選挙と同じ」 【会見速報】

田母神俊雄氏「自民党は私を支持すべきだ」 都知事選前に会見【会見速報】

家入一真氏、都知事選で「優しい革命を起こす」【会見速報】

細川氏が小泉元総理の後押しで脱原発を最重要課題と据えたことで、選挙戦の大きな争点となりました。

私の認識するところで各候補者の政策を分類すると以下のようになります。

脱原発派:細川、宇都宮
原発推進:舛添*1、田母神、家入*2

*1 舛添氏は脱原発依存を掲げているが原発ゼロは否定している。
*2 家入氏は特に態度を示していないが原発推進の堀江貴文氏が応援している。

このような動きに対して、原発立地自治体でもなく、もはや東京電力の大株主でもない東京都知事が脱原発に向けて何ができるのか、脱原発が争点になること自体がおかしい、といった意見をよく目にします。

はたしてそうでしょうか?

首長選挙で脱原発を訴えて当選を果たした先例として、世田谷区の保坂区長が挙げられます。私の地元でもあります。世田谷区では、2012年3月から区の施設の大部分を新電力へ切り替えており、年間約6,650万円の削減効果を上げています。

ちなみに世田谷区の平成25年度予算は2,423億2,900万円で前年度比4億1,200万円減。削減額の7分の1が新電力への切り替えによるものになります(参考)。

 世田谷区は2012年3月から、区の施設で使う電気をPPS(特定規模電力事業者)から購入しています。この選択によって、東京電力と契約するよりも経費削減が実現できる、脱原発を望む人もそうではない人もうなずく仕組みですよね。2013年度は、区内の施設の大口使用電力の7割はPPSと契約して、約6500万円の削減効果がありました。そういった試みは、小さな地方自治体でもできるわけですね。

(出典:脱原発首長の世田谷区長に聞いた「脱原発都知事の誕生で、エネルギー革命は加速する」 | マガジン9)

世田谷区が公表する情報をもうちょっと詳細に見てみました。

 世田谷区では、特定規模電気事業者(新電力)からの電力購入の拡大に取り組み、平成24年度から111の公共施設の電力購入に競争入札を導入するなど、電力購入経費の削減に取り組んできました。

 平成25年度の電力供給契約は、150施設を対象に競争入札を行うなど、特定規模電気事業者との契約施設を163施設に拡大しました。この契約の見直しにより、年間約6,650万円の経費節減を想定しています。

(出典:特定規模電気事業者(新電力)からの電力購入を拡大しました – 世田谷区)

新電力の導入施設の一覧を眺めてみますと、世田谷区役所、各区民センター、地区会館、清掃事業所、デイ・ホーム、保育園、小学校、中学校などなどかなり広範囲に及んでいます。区の施設って言ったらあと他に何があったっけと考えると、体育館やプールなど運動施設くらいしか思い浮かびませんでした。とにかくかなり広範囲に新電力への切り替えが進んでいます。

世田谷区が契約している新電力は、エネット(110施設)、丸紅(40施設)、東京エコサービス(13施設)の3社です。エネットはNTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスが設立した、シェア5割を占める国内最大の新電力です。丸紅は言うまでもなく総合商社の丸紅。最近積極的に火力発電所の買収を進めており2016年には最大の新電力になる予定です。東京エコサービスは東京23区で清掃工場の熱エネルギーによる電力を小売りする新電力です。

たぶん目先の損得だけ考えたら原発を動かした方がいいのでしょう。今は原油価格が落ち着いているけれど、それでも円安もあって貿易赤字は拡大する一方です。中東情勢に異変があれば一気に高騰するリスクもあります。地球温暖化も二酸化炭素との因果関係がないんじゃないかって話もありますが心配ではあります。

でも長い目で見たらやはり原発は止めるべきだし、国内のすべての原発が停止している今がその最大の機会だろうと思います。

日本で初めて原子力発電が行われたのは1963年、まだ50年しか経っていません。それでもすでに放射性廃棄物の最終処分が行き詰っている問題があるわけです。今現在も福島第一原発4号機には常時冷却が必要な使用済燃料が大量に残されています。その最終処分方法は決着していません。

そのツケは未来の日本人が払うことになるのです。私を含む30代以下の世代は過去から積み重なった莫大な財政赤字、重くのしかかる多大な年金などなど、上の世代のツケに恨みつらみを日々愚痴愚痴言ってるわけです。それと同じことを行うことになるような決断はしたくないです。

保坂世田谷区長は前掲のインタビューをこのように締めています。

 都知事には強大な権限があるので、地方とのつながりも視野に入れて、社会モデルをつくり替えてほしいですね。自治体から国へのボトムアップ型で、東京から希望ある社会像をつくる。それが便利な生活を享受してきた電力消費地としての、福島第一原発事故に対する償いにもなるのではないかなと思います。

(出典:脱原発首長の世田谷区長に聞いた「脱原発都知事の誕生で、エネルギー革命は加速する」 | マガジン9)

東京都は日本の全人口の1割が居住する電力の最大消費地です。東京都が自ら原発由来の電力を断つ決断をすれば、他の地方自治体も続くところは多いでしょう。そうした圧力は脱原発への大きな力になると、私は思います。

ところで、フィンランドの放射性廃棄物最終処理場「オンカロ(onkalo)」を描いた映画『100,000年後の安全』が、都知事選翌日の2月10日(月)正午12時まで無料配信されているそうです。

小泉純一郎元首相はこの映画を観て現地視察に赴き、脱原発の決意をしたと実しやかに囁かれています。真偽のほどはわかりませんが、世界で唯一の放射性廃棄物最終処理場がどのようなものなのかを知ることは、原発の是非を考える上で重要な視点だと思います。

onkalo
映画『100,000年後の安全』本編をYOUTUBE無料配信

感想はこちら→『100,000年後の安全』マイケル・マドセン監督

もちろん原発が唯一の争点になるのはよろしくないです。でもすでに決定した東京オリンピックがここに来て争点になるのもおかしい気がします。築地移転や首都銀行、老朽化したインフラの強靭化など東京都固有の問題はもっと議論されて欲しいとは思います。

17日間の長い選挙戦ですが、丁寧に各候補者の政策を確認して、せめて任期を全うできる都知事を選びたいものです。


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