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父親が亡くなったので実家の土地建物の名義変更をしました。

不動産登記と言うと司法書士に頼む印象が強いですが、あくまで司法書士でないと代理人になれないというだけのことで、別に自分でやっても構いません。市役所の無料法律相談に行って担当の行政書士の人にざっくりと相場観を聞いたところ、うちの場合だと20~30万円くらいだろうと言われました。高すぎ。

そんなわけで不動産の名義変更を自力でやってみたので簡単にまとめておきます。

前提条件

登記の申請に必要な書類とか申請書の書き方とかは家庭の事情でだいぶ異なります。まずは、この記事の前提となるわが家の状況について整理しておきます。

  • 不動産名義人(父)の死亡により相続開始
  • 相続人は配偶者(母)と2人の息子(長男、次男=私)
  • 分割協議により配偶者(母)がすべて相続する(遺言はない)
  • 対象の不動産は宅地4筆と居宅1棟(なぜか1区画に4つ地番が付いてた)

必要な書類

正確には所有権移転登記という手続きです。遺産分割による所有権移転登記に必要になる書類は以下のとおりです。

提出するもの

  1. 登記申請書
    • 被相続人の除住民票
    • 相続人の住民票
    • 登録免許税分の収入印紙
  2. 遺産分割協議書
    • 相続人全員の印鑑登録証明書
  3. 相続関係説明図
    • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まですべて)

書類を書くために必要なもの

  1. 固定資産評価証明書
  2. 登記事項証明書

遺言がある場合とか相続の仕方によって必要な書類が変わってきます。ご自身の状況に合わせてご確認ください。

準備

以下、どのように各書類を準備するか簡単に説明します。私の経験した範囲で効率的と思われる順番で書いていきます。

被相続人の戸籍謄本

死んだ人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取る必要があります。これは本当に相続人が書類記載の人間のみなのかを確認するために必要なんだそうです。離婚した前妻の子とか認知した婚外子とか相続人になれますからね。

とにかくこれが一番面倒くさい。

まず、死んだときの本籍地で戸籍謄本を取ります。結婚して戸籍を作ったりして戸籍を移した過去があれば、戸籍謄本に「従前の戸籍」が記載されています。従前の戸籍はこの戸籍を作る以前の本籍地を表しているので、そこの戸籍謄本も取ります。これを繰り返して、被相続人の出生が記載された戸籍謄本まで遡ってすべて集めます。

従前の戸籍が遠方の市区町村にある場合には郵送で取り寄せることもできます。郵送で戸籍を取り寄せる方法は自治体のウェブサイトに書いてあると思いますので参照ください。だいたい請求書と手数料分の定額小為替と返信用封筒と本人確認資料を送ればよいようです。

戸籍の追跡について詳しく書いている司法書士さんがいたので参考にさせていただきました。

参考:戸籍を出生まで遡って取り寄せる方法|松谷司法書士事務所

固定資産評価証明書

その市区町村内でその人が所有している土地建物を名寄せした書類と、それぞれの土地建物の評価額を証明する書類です。複数の市区町村に不動産が点在している場合はすべての市区町村で取る必要があるはずです。

これがないと正確な地番がわからず、登記事項証明書を取ることができません。また、登記申請書も書けません。

ちなみに、年度が変わると評価額が変わるので登記を行う年度のものが必要です。年度末近くに亡くなって年度中の手続き完了が難しい場合は注意が必要です。うちは父が死んだのが2月だったので間に合いそうになく4月以降まで待つことにしました。

登記事項証明書

登記申請書に記載する内容を確認するために、相続対象の不動産の登記事項証明書を取得します。

管轄の法務局で郵便で請求できます。不動産登記は誰でも自由に閲覧できるので結構簡単に取れます。

登記事項証明書の申請書の様式はこちらにあります。「1.登記事項証明書等の交付請求書」です。
法務省:新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について(お知らせ)

郵送で請求する方法について詳しくはこちらに書いてあります。
郵送で登記事項証明書の交付を請求するには,どうしたらよいのですか?(情報番号1106 全1頁)

相続人全員の印鑑登録証明書

遺産分割協議書に実印を打つので、全員分の印鑑登録証明書を添付します。それぞれのお住まいの自治体で取得します。

被相続人の除住民票

被相続人の住民票です。死亡届を出してしばらくすると死亡の記録が入った「除住民票」になります。被相続人が最後に住んでいた自治体で取得します。

相続人の住民票

相続人のうち新しい所有者になる人の住民票です。相続人のお住まいの自治体で取得します。

相続人が被相続人と同居していた場合には除住民票に載っているので提出不要のようです。私が手続したときには持って行ったけど必要ないと言われました。

遺産分割協議書

その相続人が不動産を相続することに他の相続人全員が同意していることを示す書類です。フリーフォーマットで遺産分割の内容を書いて、相続人全員で実印を押します。

いろいろな書き方があるようですが、わが家の場合は面倒なので「すべて母が相続する」という一文のみの簡単なものを作成しました。

参考までに、こんな感じです。

遺産分割協議書

 被相続人礒野波平(本籍:東京都世田谷区桜新町一丁目1番1号)は平成26年1月1日死亡したので、その相続人礒野フネ、フグ田サザエ、礒野カツオ及び礒野ワカメは、被相続人の遺産につき次のとおり分割することを協議した。

  1、被相続人の全ての財産は、相続人礒野フネが取得する。

  2、本遺産分割協議の時点で判明していない被相続人の遺産が後日発見された場合は、相続人礒野フネが取得する。

 以上のとおり分割協議が成立したので、これを証するため、本書を作成し、各自署名押印する。

  平成26年1月7日

          東京都世田谷区桜新町一丁目1番1号
          フグ田サザエ   印

          東京都世田谷区桜新町一丁目1番1号
          礒野カツオ   印

          東京都世田谷区桜新町一丁目1番1号
          礒野ワカメ   印

相続関係説明図

相続人全員が記載された家系図を作成します。住所の記載は戸籍謄本や住民票と同じ表記にしないといけません。わが家はなぜか戸籍謄本と住民票で微妙に表記にブレがあったので直すように言われました。

こんな感じ。

登記申請書

登記申請書の様式はこちらにあります。「9.相続(遺産分割)による所有権移転登記申請書」でした。遺言や法定相続の場合は別の様式が用意されています。
法務省:新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について(お知らせ)

こんな感じ。

登 記 申 請 書

登記の目的   所有権移転
原   因   平成26年1月7日相続
相 続 人   (被相続人 礒野フネ)
        東京都世田谷区桜新町一丁目1番1号

        連絡先の電話番号 03-1234-5678
添付情報    登記原因証明情報 住所証明情報

平成26年4月 1日申請 さいたま地方法務局 所沢支局
課税価格    金10,000,000円
登録免許税   金400,000円

不動産の表示
 不動産番号  9999999999999
 所  在   世田谷区桜新町
 地  番   一丁目1番1号
 地  目   宅地
 地  積   200.00㎡   この価格金90,000,000円

 不動産番号  9999999999998
 所  在   世田谷区桜新町 一丁目1番1号
 家屋番号   一丁目1番1号
 種  類   居宅
 構  造   木造スレート葺2階建
 床 面 積   1階 150.00㎡
        2階 120.00㎡   この価格金10,000,000円

登録免許税

登録免許税の金額は、土地の評価額の1000分の4で、1,000円未満の端数は切り捨てです。評価額は市区町村の発行する固定資産評価証明書または名寄せ台帳で確認できます。
登録免許税はどのように計算するのですか?(情報番号1312 全6頁)

例えば、評価額が1234,5678円だったとすれば、1000分の4で49,382.712円なので、登録免許税の金額は49,000円ということになります。

なお、最終的には登記申請書に登録免許税分の収入印紙を貼り付けて提出しますが、法務局で書き直しになる場合もあるし、法務局の中に印紙販売窓口があるので、提出する直前に購入して貼るようにするのがよいです。

これで、ようやく書類が揃いました。
あとは法務局へ提出しに行くだけです。

法務局での手続き

郵送でも手続はできるようですが、書類に不備があるとめんどくさそうなので有給を取って法務局の窓口に行くことにしました。

まずは相談窓口へ

まずは用意した書類を持って登記相談コーナーへ行きました。3つくらい窓口があって、年配の相談員さんがスタンバってました。法務局のOBとかなんでしょうか。

「相続による名義変更をしたい」「とりあえず書類を揃えてみたので見て欲しい」旨を説明すると、丹念に書類を確認してくれます。ここで、被相続人(=故人=父)の除住民票が必要なことが判明。母の住民票に父の名前と死亡日が記載されていたので必要ないと思っていたのでした。慌てて市役所へ移動して除住民票をゲットして法務局へとんぼ返りしました。

登録免許税の金額も確認できたので、法務局の同じフロアにある印紙販売窓口で収入印紙を購入。改めて同じ相談員さんに確認してもらってOKをもらいました。提出する書類にも順番があるらしく、相談員さんが確認しながらきれいに並べ替えてくれました。

受付窓口へ提出

相談員さんが揃えてくれた書類を同じフロアにある受付窓口へ提出します。窓口の係の人はパラパラと書類を眺めて確認すると、受付番号が書かれた紙を渡されました。拍子抜けするくらい簡単に受け付けられました。

その際にその後の手続の説明をしてくれて「書類に不備があったら連絡しますが、連絡がなければ一週間後に手続が完了するので、登記事項証明書を受け取りに来てください」と言われました。

結局その後は何も連絡はなく、指定された日に再度法務局に行ったら、新しい登記事項証明書をもらえました。

原本還付

登記申請書に添付した書類はコピーを取って原本と一緒に提出すると手続完了後に原本を返してもらうことができます。これが原本還付です。

私の場合は相続の手続はほぼすべて終わっていたので、簡単には揃わない戸籍謄本と、実印をうってある遺産分割協議書だけ還付してもらいました。

古い戸籍謄本とかは親戚で集まったときに話のネタになって利用価値高いです。四十九日のときに戸籍に載ってる知らない親戚の話を叔父にいろいろ聞いて面白かったです。

感想

たかが不動産の名義を変えるだけなのにあまりにも面倒でビックリしました。うちは母が無職で昼間動けたので助かりましたけれど、夜間休日しか対応できないと厳しかったかも、とは思います。

でも、実際にやってみるとそんなに専門的な知識はなくてもやれないことはないし、専門家に依頼すると月給分くらいの手数料が飛んでいくことを考えると、とりあえず自力でやれないか挑戦してみるのはいいんじゃないかな、と思います。

ただし、わが家はかなり権利関係などが単純な事例だったので素人でも自力でできたと言えるかもしれません。私自身が法学部を出ているし、一応行政書士登録できる他の資格を有しているという事情もありました。

不動産を複数持っているとか血縁関係が複雑だとか、もっと複雑な事情があるときには、迷わず司法書士などの専門家に依頼した方がいいだろうと思います。

参考文献

登記に関する書籍が何冊も出版されています。私は以下の『自分でできる相続登記』(自由国民社、児島明日美[著])を参考にして準備をしました。

法務局の相談員に一通り揃えた書類を見せたら「よくここまで自分でできましたねー」と驚かれたので、「この本見てやりました」と教えてあげました。


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