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社会学者の上野千鶴子さんのベストセラー『おひとりさまの老後』を読みました。

初版が平成19年7月12日、読んだのは平成20年1月22日の第25刷です。半年で25刷って驚異的ですね。かなり売れていた記憶はあるのですが、ここまでだったとは知りませんでした。

正直言って私はこの手のどう生きるか指南する系の本には全然興味がありません。自分の人生は自分の判断で生き方を決めたいです。

ところが、実家に帰って母の本棚を見掛けたら本書が並んでいるのを見つけました。そう言えば流行っていたなと思い出しまして、試しに読んでみた次第です。

第1章は「ようこそ、シングルライフへ」です。本書で扱う「おひとりさま」は生涯未婚の人だけではありません。死別、離別を含めてすべての人が最後には「おひとりさま」になる可能性があることを説きます。

第2章は「どこでどう暮らすか」です。一人になったときにどんなところに住むかを考えます。相続するか購入するかした持ち家もあり得るし、ケア付きの老人ホームという選択もあります。本書ではコレクティブハウスというものも紹介されています。子供の家で同居するのは止めなさいと書いてありました。

第3章は「だれとどうつきあうか」です。基本的な姿勢は家族よりも友人です。定期的にコンタクトする友人をもちメンテナンスする重要性を語っています。また、一人の生活を楽しむ心構えも説いています。

第4章は「おカネはどうするか」です。おひとりさまの老後に必要な資金を紹介しています。ケア付き老人ホームで12~15万円。厚生年金は死別で12万5千円、離別で11万7千円。足りない分は働くなり運用するなり稼ぐ手段もあると紹介しています。基本的な姿勢は経済的な自立が重要ということのようです。

第5章は「どんな介護を受けるか」です。ほとんどの人は期間は様々ですが何らかの介護を受けることになるようです。女性は特に家族の世話をする場合が多かったので介護で世話されることに慣れないとの指摘がされています。「介護をされる側の心得10箇条」も紹介されています。

第6章は「どんなふうに「終わる」か」です。近年は終活とやらが流行しているようです。亡くなった後のことも生前から考えておきましょう、という話です。誰に何を残すか、葬儀はどうするのか、遺ると恥ずかしいので早めに処分しておきたいものなども事例とともに紹介されています。孤独死してもすぐに発見されるためにも友人は大事だと言っています。

全体的に書いてあることに目新しいものはありません(発行当時がどうだったかは別の話です)。言われてみれば、まぁそうだよね、と思えるものばかりです。ある程度網羅的にまとまっていることと、取材に基づいて具体的に事例を紹介していることは本書に価値を与えるポイントでしょう。

父の葬儀前後には親戚や近所のおひとりさまの話を多く聞きました。残念ながら本書に紹介されるように、おひとりさまの老後を積極的に生きている人は多くないように感じました。多くの人は流れに任せて受動的に自らの老後を過ごしているような印象を持ちました。

父を亡くして母が突然一人になり、私自身が独身で身軽だったこともあって、母と実家で同居することにしました。それが本当に正しい選択だったのか、まだ答えは出ていません。きっと答えはないんだと思います。

本書は老後に備えて心構えを作るために全体を概観するのには悪くないと思いますけれど、あまり真に受けない方がいいように思えます。ざっくり老後に対するイメージを作る程度で、あとは著者の強烈な個性を楽しむくらいの気軽な感じでざっくり読んでおけば良いと思います。

実用書っぽい雰囲気がありますが、本書はエッセイ本に近いエンターテインメント作品と思って読んだ方がよいでしょう。そういう側面で見ると良作だと思います。非常に気軽に楽しんで読めました。

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