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とあるイベントでふなっしーの偽物が現れて警察に取り押さえられるという騒ぎがあったようです。

 同市によると、同日正午ごろ、偽物は会場で20~30人の子どもに囲まれていたが、ステージ上のご当地アイドルに「ふなっしーだ」と指さされると、慌てて駆けだしたという。会場外に出たところで警戒中だった高砂署員に取り押さえられた。
 高砂署によると、着ぐるみの中にいたのは自称加古川市の男性で、「母親の勧めで、自分の子どもを喜ばせるために着ていた」と話しているという。著作権の問題がないかどうかなどについて、同署は2日にも男性から任意で話を聞く予定。

出典:ふなっしー偽物騒ぎ 警察が取り押さえ 兵庫のイベント (神戸新聞NEXT)

話としては単純に不審な人がいたので警察が取り押さえたという話で、著作権は蛇足みたいなものです。しかし、どうも「著作権侵害の疑いで現行犯逮捕」みたいな文脈で読み違えた上に、「著作権は親告罪なのに警察は何の権限があって取り押さえたのだ」みたいな頓珍漢なことをおっしゃる方々が見掛けられました。

sajiwo
警察は何を根拠に取り押さえたんだろう。不審者扱いなら取り押さえして任意同行まではわかるが、著作権侵害についてはふなっしー側から何もないなら警察が任意で話を聞く理由はないと思うのだが。

nakex1
著作権侵害は親告罪のはず。警察が発見した時点で取り押さえることができる根拠はなんだろう。もし,権利者の告発がなくても警察が疑った時点で取り押さえられるとしたら,同人イベントは成り立たなくなる。

出典:はてなブックマーク – ふなっしー偽物騒ぎ 警察が取り押さえ 兵庫のイベント (神戸新聞NEXT)

親告罪と言うのは、告訴がなければ控訴できない、というだけの話なので、現在でも警察が独自に捜査して容疑が固まった段階で著作権者に確認するということは通常行われています。

ちょっと古いですが、デジタル著作物の権利保護に関する活動を行っている社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の理事による記事が参考になります。

ACCSが調査などを通じて捜査協力を行っている刑事事件は、毎年30件ほどあります。もちろん、会員会社である著作権者が行った告訴に対して、警察はきちんと受理して捜査しています。かつてはコンピュータプログラムの著作権に対する捜査機関の理解不足からか、告訴をなかなか受けてくれないという時代もありましたが、今となっては過去の話です。現在の事件は、警察が著作権侵害を探知することによって始まる場合も多くあります。各都道府県警レベルで、独自のサイバーパトロール部隊を整備して、インターネット上などでの違法行為を調査しているのです。
(中略)
だからこそ、著作権侵害行為は、親告罪として著作権者の告訴に委ねられているのだと理解しています。実際、サイバーパトロールで著作権侵害が発見された場合でも、警察は著作権者に、許諾の有無を尋ね、告訴の意思を確認します。その上で、著作権者が、事件の悪質性の観点などから告訴するかどうかを判断しています。

出典:著作権法の非親告罪化と捜査の実情:愚直なまでも著作権:ITmedia オルタナティブ・ブログ

一般的に考えても、例えば、強姦罪(刑法177条)や暴行罪(刑法208条)も親告罪ですけれど、街中で女性が強姦されているときに、被害女性の告訴がなければ警察が動けないと思いますか?

そんなことあり得ないでしょう。親告罪であっても現行犯逮捕なら問題なくできる解されています。

(もちろん目の前で女性が強姦されてようが本人が自力で何とかすべきだ、自己責任だ、という考えもあるかもしれません。それならば話にならないのでもう何も言いません。軽蔑はしますけれど。)

同じ親告罪なのに強姦なら警察は自発的に動けるけれど著作権侵害では動けないと考えるなら、その違いはどこにあるのでしょうか。

「著作権侵害は親告罪なのだから警察が勝手に動くことはできない」という発想は、著作権を始めとした知的財産権を軽視する意識の表れなのだと思います。


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