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もしかしたらすごく有名な話なのかも知れませんが、初めて知ったのでご紹介。

ダイソンの羽根なし扇風機Dyson Air Multiplierに類似する扇風機を30年前に東芝が特許出願していたというお話です。

dyson cool

Dyson Air Multiplierに関する特許は3件登録されています(第4756286号、第4769988号、第4773570号)。最も基本と思われる特許が第4756286号です。特許第4756286号の出願日は平成21年9月24日、優先日は平成20年9月23日です。

特許第4756286号の請求項と図面はそれぞれ以下のような感じでした。

【請求項1】
 空気の流れを生じさせる羽根なし送風機組立体であって、前記送風機組立体は、ノズルであって、前記ノズルを通して空気流を生じさせる手段を収容する基部に設けられるとともに、前記基部から前記空気流を受け入れる内部通路及び前記空気流が放出される口を備えたノズルを有し、前記ノズルは、前記送風機組立体の外部からの空気を前記口から放出された前記空気流によって引き込むようにする開口部を構成するよう軸線回りに延びており、前記ノズルは、表面を有し、前記口は、前記空気流を前記表面上でこれに沿って差し向けるよう配置され、前記表面は、下流側に向かって前記軸線から遠ざかってテーパしたディフューザ部分と、前記ディフューザ部分から見て下流側に位置すると共にこのディフューザ部分に対して前記開口部の内方側に角度をなしたガイド部分とを有する、送風機組立体。

Pat4756286 Fig1Pat4756286 Fig2

請求項はわかりづらいので、かなり乱暴に構成要件を分解してみます。ざっくりこの4つに分けられそうです。

  1. 基部が空気流を発生する
  2. 中空状のノズルが開口部を構成している
  3. ノズルの表面の口から空気流を放出する
  4. ノズルの表面が下流に向かってテーパされ、かつ内方側に角度がある

一方、30年前に東芝が出願している羽根付き扇風機の出願は、特開昭56-167897号公報です。この出願は特許になっていません。おそらく審査請求しなかったのでしょう。出願日は昭和55年5月28日でした。

【請求項1】
 送風羽根及びこれを駆動するモータを収めた基台と、この基台に支持され該基台から前期送風羽根が起こす風を受ける中空状を成して該部からその風を吐出せしめる環状スリットを有する吐風環とを具備して成る扇風機。

JPS56-167897

ダイソンの特許よりもずっと単純です。特許第4756286号の構成要件に対応させると以下のようになります。

  1. 羽根とモータで風を起こす基台
  2. 中空状の吐風環が基台に支持される
  3. 吐風環の環状スリットから風を吐出する

円形のチューブに送風口を付けて、台座で発生させた風を放出するという発想は、30年前に東芝が出願している発明と同じであることがわかります。

ダイソンの特許では4番目の構成が新たに追加されているのが特徴です。ノズルのテーパや表面の角度は空気流を効率的に発生させるための工夫と思われます。

この東芝の出願はダイソンの明細書にも従来例として記載されています。ダイソンは東芝の30年前の発明を参考にしてAir Multiplierを開発したのです。

Air Multiplierも発売当初はノイズが酷いとして見掛けのインパクトの割りに評判はよろしくなかったように記憶しています。おそらく東芝の発明もそのままでは使い物にならなかったのでしょう。

実用的なレベルに到達するまで改良を繰り返したダイソンに敬意を表したいと思います。

参考

Dyson fan: was it invented 30 years ago? – Telegraph

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