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前回の記事(朝日新聞の職務発明報道は信用するな)の続きです。

朝日新聞の職務発明に関する記事に関しては、一夜明けて各紙が特許制度小委員会の内容に沿った真っ当な報道をしていまして、朝日新聞の誤報または捏造は確定的となっています。

日経新聞:社員の発明、特許は企業に 産業界が報酬ルールに理解
読売新聞:社員発明、企業が条件付きで特許権…有識者会議
NHKニュース:発明の特許権 社員から企業に

実際に傍聴された弁護士さんによる報告もあります。

この記事を書いた朝日新聞の西尾邦明記者は、6月18日にも特許を受ける権利の法人帰属について、審議会の議論の流れと反して政府が方針を決定したかのような記事を飛ばしていました。

2014/6/18記事:社員の特許「会社のもの」に 報償金条件、来年法改正へ

6月の記事については報道以前に用語使いも不正確であり、記事を書く以前の基礎知識が足りていない印象が強いクオリティの低いものでした。

参考:職務発明に関する朝日新聞の記事が酷いので書き直した

率直に言って、このように不正確な内容で前提知識も怪しい記事を、署名入りで打ち上げてくる意味がわかりませんでした。

調べてみると西尾邦明記者は8月に職務発明制度の改正に対して反対の意見を表明する記事を実名顔出しで掲載しており、この問題に対する並々ならぬ意欲を感じさせます。

※ちなみに、いちいち指摘しませんが、ここに引用した短い文章でも問題を正しく理解していないことがよくわかります。

 社員が会社の仕事として発明した特許は「社員のもの」か、「会社のもの」か。政府は6月にまとめた成長戦略で、いまの「社員のもの」から「会社のもの」へ変更する方針を決めた。発明した社員に十分な報償金を支払う企業に限って導入される予定だが、現状では、社員の待遇悪化につながりかねず、制度変更には反対だ。

出典:(記者有論)社員の発明 「会社のもの」にするな 西尾邦明

どうやら西尾邦明記者はtwitterアカウント持っていて、問題の記事を自らコメントを付けて投稿していることがわかりました。

「対価請求権がどうなるのか」・・・!!

いやいやいや、あなた自分で「これまでは、十分な報償金を社員に支払うことを条件にする方向だったが、経済界の強い要望を踏まえ、こうした条件もなくす。」って記事に書いてるじゃないですか。「発明の対価」と「報奨金」が法改正の議論でどういう位置付けにあるかも理解してないんじゃないですか?

現在の制度では、従業員がした発明に関する特許を受ける権利は従業員に原始的に帰属するから、企業が特許出願するためには従業員から企業に特許を受ける権利を譲渡する必要があって、その際に使用者と従業員の力関係を考慮して相当の対価を支払わなければいけない規定になっているわけです。

で、今回の議論は、従業員がした発明に関する特許を受ける権利を企業に原始的に帰属させたいという話なので、権利の譲渡が発生しなくなるから対価ではあり得ないわけです。これでは従業員から一方的に権利を剥奪することになってしまうので、報奨金という位置付けで従業員を保護すべきではないかと、そういう話です。

だから、「対価請求権」がキーワードになるなんてことはあり得ないわけで、ここで真っ先にそういう単語が出てくるのは問題を根本的に理解していないことの証左と言えます。

私は今回の誤報もしくは捏造記事は、記者の左巻きの正義感による意図的な印象操作であって極めて悪質なものと考えていました。しかし、もしかしたら、それ以前に、何の基礎知識もない不勉強な記者が小耳に挟んだ断片的な情報から妄想して生み出したある意味イノセントな類の誤報なのかもしれない、という風に思うに至りました。

西尾記者のtwitterには真偽について問い合わせる投稿が何件か投げ掛けられていることが見て取れますが、特に反応はないようです。署名入りで記事を書く以上、その内容には責任を持って欲しいものです。

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