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フランス文学者で明治大学教授、鹿島茂さんの『勝つための論文の書き方』を読みました。

本書は鹿島教授が大学で持っていた論文指導の講義を編集者向けに再現してまとめたものです。全体的に論文の書き方というよりも、研究の進め方と言った方が内容に合致していると思います。

本書は4回分の講義録からなり、各回のタイトルは以下のようになっています。

第1回講義 日常生活と論文
第2回講義 問題の立て方
第3回講義 資料の集め方
第4回講義 論文の組み立て方

前半はほとんど「問い」をどう立てるかに費やしています。第1回講義の中で「よい論文とは「?」で始まり、「!」で終わる」という見出しがあり、ここで以下のように述べられています。

論文を書く、しかも良い論文を書くということは、畢竟、良い問いを、すなわち、だれもこれまでに考えついたことのないような問いを見いだすことに尽きる

論文とレポートの違いもここにあって、レポートは問いが与えられておりそれに答えるもの、論文は問い自体を見つけるものと言っています。なるほど、明快な定義で納得しました。

後半は前半と較べると極めて無難な話だったと思います。まぁそうだよね、という内容でした。

「論文の書き方」という視点では以上のような内容なのですが、本書の真骨頂はこれらの内容を興味深いを事例を挙げながら説得力のある説明をしているところです。場合によっては論文の書き方とかどうでもよくて、その事例の詳細をもっと知りたいという気分にもなります。

例えば、

自分のしたウンコは臭くても不快ではないのに、トイレに残っている他人のウンコ臭はなぜ不快なのだろう?

とか、

昭和三十年代に、東京の西の盛り場として急に勃興し、ナイトクラブや料亭といった高級歓楽街として名をはせていた赤坂が、なぜその後、あっというまに没落し、ただの盛り場になってしまったのか

といった感じ。

で、うまいことにそこに自著の宣伝も入ります。「これは以前『・・・』にも書いたのですが、……」みたいな。

本当に論文の書き方がわからなくなってから読むにはお勧めできませんが、これから何かの研究をして論文にまとめたいときに心構えを作るために気楽に読むには非常に良いと思いました。

次は本書でも何度か紹介された『セーラー服とエッフェル塔』を読んでみたいと思います。

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