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本書は、独身の身で親の介護を担うことになった「介護独身」の方々を取材したルポルタージュです。

私は現在70代の母と実家で二人暮らしなので、これはもうまったく他人事ではありません。母が今後どのように老いていくのかは神のみぞ知ることですが、もし介護が必要な状況に陥れば、それを引き受けるのは間違いなく自分です。

私の場合は父が死ぬまでは実家を離れて一人で暮らしていましたから、父が死んで実家に戻るときにその覚悟はできているつもりではありましたが、考えてみれば身近に本当に介護が必要なご老人を見たこともなく、本当にやれるのかというのは直視しないようにしてきた気がします。

本書では多くの介護独身者が描かれています。男性も女性もいます。すべて兄弟がいる人たちです。親の介護が必要になったときに気付いたら一人独身だったために自然な流れで介護を引き受けることになった人がほとんどです。

介護の仕方は人それぞれです。仕事を続けながら介護をこなしている人もいれば、無職で親の年金で食い繋いでいる人もいます。仕事を続けている人は自営業とか比較的労働時間を自己の裁量で調整できる場合が多いです。不思議なことに、介護のために仕事を止めざるを得なくなったという人は出てきません。たまたま一身上の都合で仕事を辞めた頃に親の介護が必要になって、時間繋ぎに介護を始めたら止められなくなったという場合が多いようです。

本書で描かれる介護独身者たちは30代後半から50代くらいまでです。率直に言って結婚適齢期はすでに終えている人たち。それでもいい人がいれば結婚したいと言っています。客観的に言って、その歳で介護が必要な親を抱えている人が結婚できる確率は皆無に近いでしょう。たぶん本人たちもそれは気付いているはず。でも、それを口にしてしまうとそのまま現実になってしまうのが怖くて希望だけは捨てないようにしているように感じました。

私もたびたび親の介護を一人で引き受ける人生のシミュレーションを頭の中でやってみたりします。現在の仕事であれば収入は激減しても無職になることは避けられるはずだし、金銭的には何とかなるだろうと想像しています。一番怖いのは、介護が終わったとき、すなわち親が死んで一人になったときです。そうなったときに自分は生き続ける意味を見出すことができるだろうか、とても不安です。

本書で描かれているのは、このまま親が介護を必要とする状況になったらどうなるだろうかと何となく想像していた私の姿そのままでした。やはりこうなるのが運命なのだなと納得はしましたが、救いのない現実を突きつけられたようで悲しくなりました。悲しいけれどこれ、現実なのよね。

必要以上に悲観することはないけれど、人生は厳しいものだと改めて認識するのに十分な一冊でした。

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