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twitterでフォローしている人が「特許一郎って誰だよw IPDL検索したらいっぱい出てくるんだけどwww」と正月早々から盛り上がっていたのを見掛けまして、ちょっと調べてみました。

ichiro
▲「特許一郎著」でIPDLを検索した結果、記事執筆時点で13件ヒット。

個人発明家の人が多いようですが、中にはソニーやサムスン、日立製作所など、大企業の出願も見られました。

果たしてどんな文脈で出てくるのかと明細書を片っ端から見てみますと、ほぼすべての明細書で先行文献として『特許一郎著 「ハンドスキャナのいろいろ」特許出版 2003年』が挙げられているようでした。

【非特許文献1】特許一郎著 「ハンドスキャナのいろいろ」特許出版 2003年

念のため、Amazonや紀伊国屋のWebサイトで該当の書籍がないかを調べましたが、このようなタイトルの書籍が販売されている形跡はありませんでした。

で、googleで検索して追っ掛けてみると、インターネット出願ソフトのサポートサイトにある「申請書類の書き方ガイド」に掲載されているひな形の一部であることがわかりました。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】  特開2003-000000号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】 特許一郎著 「ハンドスキャナのいろいろ」特許出版 2003年

明細書(配列表ST.25形式):特許

インターネット出願ソフトは特許事務所等で利用している、特許庁へ提出する書類を電子的にアップロードするためのソフトです。おそらく、このインターネット出願ソフトが用意したひな形をコピペして本物の出願書類を作ったときに、この項目をそのまま残してしまう人が一定数いるということのようです。

ちなみに、試しにひな型に挙がっている特許文献「特開2003-000000号公報」の方でIPDLを検索すると、現時点で55件がヒットします。

特許法48条の7という規定では、審査の促進のために、出願人が知っている先行技術文献を明細書に記載することが努力義務として定められています。何の断りもなく先行文献を明細書に記載しないで出願をすると、実質的な審査が行われる前に48条の7の通知が発送されるそうです。

※個人的には必ず何らかの先行文献を無理矢理でも記載するようにしているので、これをもらった経験はありません。

(文献公知発明に係る情報の記載についての通知)
第四十八条の七  審査官は、特許出願が第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たしていないと認めるときは、特許出願人に対し、その旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。

(特許出願)
第三十六条  特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
4  前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
二  その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

確かに、先行文献を挙げようがないような発明というのはときどきあって、非常に苦心するときもあります。そういうときにとりあえずダミーでひな形にあるものをそのまま記載して出願しているのかもしれません。もちろんひな形から明細書を作成して、単純に消し忘れたということもあるかもしれません。

個人発明家の人でよくわからずに残している場合は別として、企業の出願で代理人が付いている場合に、このような記載を残して出願してしまうというのは、ちょっと個人的には信じられない気分です。とても金を取れる仕事じゃない。このような仕事をする特許事務所には依頼してはいけません。

IPDLで調べれば簡単にわかりますので、もし付き合いのない特許事務所に依頼をするのであれば、こういう雑な仕事をしていないかどうか、軽く調べておくのも重要だと思います。

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