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横山光輝作『平家物語』を読みました。

マンガ日本の古典というシリーズの中の一作で、上中下巻に分かれています。

平家物語と言えば、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ」で始まる平安末期の源平合戦を描いた軍記物語です。

子供の頃には断片的にいろんなエピソードに触れたりするわけですけれど、体系的に全体をなぞる機会がありませんでした。といって多く出版されている現代語訳や歴史小説でがっつり読みたいという気力もあまりなく、手っ取り早く全体像が掴めそうなのがいいということから、本作にたどり着きました。

本作は平清盛が太政大臣になって平家が朝廷で実権を握ったところから始まり、壇ノ浦の合戦で平家が滅亡するまでを描いています。

学校で習う歴史では源氏視点で源頼朝や義経の逸話が多く紹介されるわけですが、この物語は大部分が平家側、特に平清盛の視点で描かれます。平清盛没後は木曽義仲が、義仲没後は義経が中心になります。頼朝は鎌倉から指揮し朝廷とは距離を置いていたため、描かれる場面は限定的です。いずれにしても常に滅びる側に視点を置いて物語が進んでおり、展開は非常にドラマチックです。個人的には、木曽義仲の最後、巴御前との別れがグッときました。

子供の頃のうろ覚えの知識をもって読んでいたので、だいぶイメージと違うところもありました。平家は頼朝挙兵後は東国で迎え撃ちに行って、連敗しながら西に追い詰められていったような印象がありましたが、実際にはろくに戦いもなく福原から四国へ逃亡し追い詰められていきます。木曽義仲は平家の留守に京を奪い取って略奪を尽くした極悪人というイメージでしたが、略奪自体は当時の一般的な慣習で、兵士の乱暴を放置はしたものの本人が積極的に動いたわけでもありません。一番イメージがちがったのは、源義経です。義経も勇敢な戦略家というイメージが強かったですが、本作で描かれる義経は横暴で部下の意見を聞かずに独断で無茶を通す無鉄砲な若者という印象です。

読んでいて困ったのは、平家も源氏も出てくる人たちがみんな似たような名前で、主要人物以外は人間関係がとても複雑だということでした。誰が誰の子供で誰と誰が兄弟か、ちょくちょく説明はでてきますが、顔も似たようなものだし、行ったり来たりしながら読むので読了までに結構時間がかかりました。これについては、下巻のあとがきで著者自身が書いていまして、書いてる人が混乱するくらいなんだから読んでる方はわからないのは仕方ないことだと開き直ることにしました。

とりあえず一通り読んでみましたが、まだ十分に咀嚼できてないところも多いですから、あと1,2回は読まないと全体を把握するのは難しいかもと思っています。もしできれば、全体像を把握した上で、吉川栄治か先日亡くなった宮尾登美子版の平家物語などにも挑戦してみようかと思います。

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