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2015年は年初からイスラム過激派が世界中で話題を振り撒いており、個人的にも昨年父が他界してから仏教に興味を持ち始めており、手始めに世界の宗教をざっくり大枠で捉えておきたいと思っていました。

そんな折に書店で偶然に目にした本書をタイトルだけで購入して読んでみました。

本書は、前半分が本編で、後半分が付録の資料編になっています。本編では、世界中に存在する様々な宗教を取り上げながら、そもそも宗教とは何なのかを体系的に論じています。資料編では、メジャーな宗教についてその概略を説明しています。

本編は7部構成になっていて、薄い宗教、濃い宗教、宗教の仕掛けなどの視点から宗教の本質を説明しています。薄い宗教とは、知識や習慣として生活に溶け込んだ宗教的文化のことです。濃い宗教とは、神や仏に救いを求めて普段から祈りや念仏を欠かさず信仰することです。宗教の仕掛けとしては、戒律と儀礼が取り上げられていて、これらが薄く広まって文化となったり、濃く信仰するためのツールとなったりするわけです。

本編は基本的に特定に宗教の解説ではなく、各宗教の特長を挙げながら宗教の本質を体系化するものです。そのために本書の一章では世界中の宗教の実情が地理的および歴史的にまとめられています。大きくは、一神教としてユダヤ教が生まれ、紀元0年頃にキリスト教と7世紀頃にイスラム教に分かれる流れがあり、多神教として生まれたヒンドゥー教から釈迦が仏教を興し、さらに仏教が大乗仏教へ変革する流れと、さらに孔子の道教や日本の神道が大乗仏教と融合しながら浸透していく流れがあります。私は学生時分に世界史などはあまり勉強して来なかったものですから、改めていろんな宗教の関連性などを整理することができたのは、本書による一番の収穫でした。

本書の大きなテーマとして「日本人は無宗教であるのか」という点もありました。日本人は自らが無宗教であると考えている人が多いと言われます。文化レベルでは様々な宗教の儀礼が生活に溶け込んでいるし、パワースポットやスピリチュアルへの興味など宗教的な情念は未だ失われていないと言えます。信仰レベルで宗教と関わる人は特に一神教の国と比べて少ないというだけであって、決して無宗教とは言えないのではないかということだと思います。

付録の方では、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、儒教、道教、神道について成り立ちから教義や戒律の基本的事項が簡潔にまとめられています。著者の方はおそらくいずれの宗教も信仰していないようなので各宗教についてフラットに説明されている印象で読みやすかったです。

本書はタイトル通り、現代人の教養として押さえておきたいところがきちんと押さえられている良書だと思います。近年になく宗教への関心が強まっている昨今、宗教の全体像を概観しておくのはいかがでしょうか。

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