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話題の映画『アメリカン・スナイパー』を観てきました。

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あらすじはこんな感じ。

イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。

出典:映画『アメリカン・スナイパー』 – シネマトゥデイ

主人公クリス・カイルは実在の人物で、ベストセラーとなった自伝を映画化したものです。

映画のほとんどの部分は戦場の場面ですが、ドラマチックな演出は敵のスナイパー、ムスタファを狙撃し戦場を離脱するクライマックスを除いてほとんどありません。淡々と物語が進行していきます。逆にそれが戦場のシーンにリアリティを持たせて緊張感を生み出すことに成功しています。

4回の出征を通じてクリス・カイルが追い続けるのはアルカイダのナンバー2であるザルカウィと、オリンピック出場経験もあるスナイパーのムスタファ。ザルカウィは後にIslamic State(IS)のトップとなる人物です。イラク戦争の英雄が追い続けた人物が別の過激派組織を構成し、映画の公開と機を合わせるように活動を活発化しているのは皮肉な運命を感じさせます。

私は詳しく事情を知らずに鑑賞に行ったのですが、主人公クリス・カイル氏はすでに亡くなっています。自身のPTSDを克服した経験から帰還兵の支援活動に携わっていましたが、支援相手の帰還兵に銃撃されて亡くなったとのことです。すでに映画化が決定し制作中の出来事でした。本作のエンディングではそれを印象的に描いています。衝撃的と言った方がいいかもしれません。

(CNN) 米テキサス州公安当局は4日までに、同州フォートワース郊外にあるロッジの射撃場で2日午後、米海軍特殊部隊「SEALs(シールズ)」の元隊員、クリス・カイル氏(38)ら2人が射殺されたと発表した。警察は2人とともに射撃場へ向かった元海兵隊員を殺人容疑で逮捕した。

カイル氏は、イラク戦争で150人以上の敵を射殺したとする体験を書いた著書「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」で知られる。2009年に退役した後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩む帰還兵らを支援する非営利組織(NPO)を設立していた。同時に殺害されたチャド・リトルフィールド氏(35)も従軍経験があり、帰還兵の支援に協力していた。

両氏は2日午後3時すぎ、エディー・レイ・ルース容疑者(25)とともにロッジに入った。午後5時ごろ、敷地内の射撃場で2人が倒れているのを施設の案内役が発見して通報。駆けつけた保安官助手らが死亡を確認した。銃撃現場の目撃者は見つかっていない。

出典:CNN.co.jp : 「最強の狙撃手」ら2人を射撃場で射殺、元兵士逮捕

本作は全体的に、米国人にしか深く理解できない文脈の上で成り立っている映画という印象を受けました。911の同時多発テロからイラク出兵へ向かう一体感と、戦争の長期化によって戦闘に固執する者と戦場から逃避する者とに二分していく様は、当時の米国の世情を端的に表しているのだと思います。

ISを含めてイスラム過激派組織が活動を活発化していく現在、米国は難しい判断を迫られている状況にあります。本作は作品自体の出来も素晴らしいものですが、この時期に公開を迎えたという点で(少なくとも米国にとっては)記憶に残る一作になったのではないかと思います。

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