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昨年父が他界してから宗教に興味が向いてきました。わが家は代々浄土真宗とのことでしたので、浄土信仰周りの本をいくつか読んでいます。

『いきなりはじめる浄土真宗』『はじめたばかりの浄土真宗』内田樹/釈徹宗(著)
『法然親鸞一遍』釈徹宗(著)

今回は浄土宗の開祖、法然について読んでみました。

本書の奥付けによれば、著者の阿満利麿氏はNHKで社会教養部のチーフ・ディレクターを務めた後、明治学院大学国際学部教授から現在は名誉教授となられた方のようです。親鸞・法然を中心に宗教関係の著書多数。NHKから大学教授に転向した経緯は不明ですが権威ある宗教学者のようです。

本書では、法然の思想とその歴史的な位置付け、また当時としては過激でもあった法然の思想がどのようにして受け入れられていったのか、そして数々のエピソードから垣間見える法然の人柄などが解説されています。特に浄土信仰の考え方は丁寧に解説されており、得るものは大きかったですが、私には少し難しく一読だけでは半分くらいしか理解できていない感じがします。

法然はとても知能に優れた人でかつ大変な勉強家だったようですが、それでも13歳で比叡山に登ってから43歳で専修念仏に帰するまで30年かかっています。また、法然が専修念仏に帰するにあたり、中国の浄土思想家である曇鸞や善導の著作に大きな影響を受けているとのことでした。浄土信仰は法然の閃きで編み出されたような印象を持っていましたが、先人たちの思想を整理して形作られたものであることがわかり、眼から鱗が落ちる思いでした。

本書の中で一番印象に残ったのは、仏教における「末法」という考え方でした。末法とは釈尊の教えが力を発揮せず、修行者が堕落し誰も悟りを開くことができない状態になるという時代認識です。釈尊の死後千年もしくは二千年後から始まり一万年間続くとされています。法然の時代はまさにこの末法に当たる時期で、実際に僧侶たちの争いや堕落が世間にはびこっていたようです。こうした時代背景があって、専修念仏が見出されたという解釈は非常に納得できるように思いました。

本書は著者の旧著『親鸞』の続編的な位置付けらしく、親鸞の思想について予備知識があるのが前提になっているような書き方になっている箇所が多いように感じました。歴史的な経緯としては親鸞は法然の弟子に当たる人ですから、何も考えないと法然の方を先に手にしてしまいそうです。紹介文でも序文でもいいから簡単に触れておいていただけるとよかったと思います。

つぎは『親鸞』に進んで、改めて『法然入門』へ戻りたいと思います。

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