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Googleが特許の買い取りに関する実験プロジェクトを開始することを発表したそうです。

Googleは、特許の保有者がGoogleに特許を売却できる実験的なプログラム「Patent Purchase Promotion」をローンチすると今朝発表した。このプログラミは来月から利用することができる。特許トロールの問題や訴訟のために割かれる労力を減らすために特許市場での「摩擦を減らす」のが目的だ。

出典:特許保有者がGoogleに特許を販売できるマーケットプレイスがローンチ予定 | TechCrunch Japan

Googleによる発表の元ネタはこちらのようです。

The Patent Purchase Promotion

Google is announcing an experiment to remove friction from the patent market and improve the landscape: The Patent Purchase Promotion. Starting May 8, 2015 and continuing through May 22, 2015, we will open a streamlined portal for patent holders to tell Google about patents they are willing to sell.

出典:Patents Site – Google

Googleの有名な20%ルールによるサイドプロジェクトという位置付けで、あくまで実験的な試みであることが強調されています。Googleの20%ルールとは就業時間の20%を業務外のプロジェクトに費やすことを義務付ける社内ルールです。GmailもGoogle MapもGoogle Newsも20%ルールで開始されたプロジェクトです。私はエンジニアのみが対象だと思っていたのですが、他の職種でもルールが適用されるようですね。

詳細は上記のリンク先を確認いただくとして、この試みには非常に期待したいと思いました。Googleのアナウンスでは「remove friction from the patent market and improve the landscape(特許市場の摩擦を減らし、見通しをよくしたい)」とその目的を説明しています。つまり特許の流動性を高めることがこのプロジェクトの目的です。

特許権というのは基本的には財産権です。特許権者は特許技術について一定期間排他的に実施する権利を得ることで市場から優先的に利益を得ることができます。しかし、せっかく特許を取っても、それが事業に結びつくかは別の話です。いかに優れた技術でも需要がないところにビジネスは生まれません。また、社内リソースの関係で事業化できないことも多いでしょう。

多くの大企業は休眠特許の扱いに腐心しています。そうした背景からIPXを始め特許流通市場の試みがいくつも立ち上がりましたが成果は上がっていません。特許はあまりにも強力な権利なので自由な流通に任せるのは向かないのです。もし自社で不要とした特許を手放した結果、競合他社が譲り受けてヒット商品の開発に成功したら、売却を決めた担当者は立場がありません。また、その特許がパテントトロールの手に渡り業界内各社を手当たり次第に訴え出したらその企業は業界内で強い批判を浴びるでしょう。自由な特許流通は今のところ成功する気配はありません。

Googleは2013年3月「Open Patent Non-Assert (OPN) Pledge」を発表し、防衛目的以外に自社特許による訴訟は行わないことを明らかにしています。今回の買取プログラムはこうした過去の取り組みとセットになって初めて意味のあるものになります。Googleがいくら高く買い取ってくれたとしてもGoogleが新たなパテントトロールにならない保証など本来はないわけですから。

 米Googleは3月28日(現地時間)、「Open Patent Non-Assertion(OPN) Pledge」を発表した。同社の一部の特許に関し、オープンソースソフトウェアのユーザー、配布者、開発者を、相手に提訴されない限り提訴しないという宣言だ。

 Googleは「われわれはオープンなシステムが勝利すると信じている。オープンソースソフトウェアはクラウドコンピューティング、モバイルWeb他、インターネット全般のイノベーションの根源だ。だが、オープンなプラットフォームは特許攻撃にさらされており、企業は防衛のために特許の取得を強いられている」とし、OPNは真のイノベーションと素晴らしい製品やサービスを生み出すオープンなインターネットを守るための取り組みの一環だと説明する。

出典:Google、オープンなインターネットを目指す特許非係争「OPN」を宣言 – ITmedia ニュース

率直に言って、いくらGoogleが巨大であってもこれだけで特許の流通化が劇的に進むことはないだろうと思いますけれど、業界内に強い影響力がある企業が積極的に特許流通の促進に動き出したことは非常に意味があることだと思います。

Googleの計画によれば7月22日に買い取る特許が確定するようです。どれだけの成果が出るのか興味を持って見守りたいと思います。

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