スポンサードリンク

2015年10月5日、大村智・北里大学特別栄誉教授がノーベル医学・生理学賞を受賞されました。まことにおめでとうございます。

ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞者に、熱帯の寄生虫の病気に効果がある抗生物質を発見したことなどで知られる北里大学特別栄誉教授の大村智さんが、アイルランド出身の研究者と中国の研究者と共に選ばれました。

(略)

大村さんは、これまで微生物由来の有機化合物を多数発見し、薬学研究の分野で優れた業績を上げました。
そして、寄生虫によって引き起こされるオンコセルカ症やリンパ性フィラリアなどの発生を劇的に抑えることができる「イベルメクチン」のもととなる「エバーメクチン」など、数々の抗生物質を発見しました。

出典:ノーベル医学・生理学賞に大村智さん NHKニュース

不勉強なもので大村智さんのことはまったく存じ上げなかったのですが、東京理科大学で修士号と博士号を取得されているということで勝手に親近感を感じています。

さて、大村智さんの莫大な特許料収入の使い道が話題になっていましたが、実際どのような特許を取っているんだろうかと調べてみました。

記事執筆時現在、発明者が大村智さんかつ権利者が北里研究所の公開特許公報は147件、特許公報は70件ありました。
(最初は発明者名だけで検索したのですが、同姓同名もしくは途中まで同じ名前の人が混ざってしまったので権利者名も含めました。もしかしたら漏れているかもしれません。)

70件の特許の中で「エバーメクチン」に関するもので古いものを探してみると、以下の2件に当たりました。特許第2897834号はエバーメクチンの製造方法、特許第2888586号はエバーメクチンを生産するための微生物に関する特許です。

特許番号 発明の名称 出願日 登録日
特許2897834 醗酵法によるエバーメクチンA1a、A2a、B1aおよびB2aの製造法およびストレプトミセス・アベルミチルスに属する新菌株 平成1年9月13日 平成11年3月12日
特許2888586 エバーメクチンの特定成分を選択生産するための微生物およびその選択的製造法 平成2年3月5日 平成11年2月19日

どちらもすでに出願から20年経過しているので特許の存続期間は終了しています。

特許の権利範囲を規定する請求項は以下のようになっています。バイオ関係は完全に門外漢なので、明細書の発明の詳細な説明を読んでもちんぷんかんぷんでした。ていうかバイオ系の明細書を読んだのは初めてかもしれない。

特許第2897834号は微生物を使ってエバーメクチンを生産する方法に関する特許のようです。

【請求項1】ストレプトミセス属に属し、イソロイシン代謝拮抗物質に耐性を示し、かつエバーメクチン生産能を有する微生物を培地で培養し、培養物中にエバーメクチンA1a、A2a、B1aおよびB2aを生産蓄積させ、当該培養物よりエバーメクチンA1a、A2a、B1aおよびB2aを採取することを特徴とするエバーメクチンA1a、A2a、B1aおよびB2aの製造法。
【請求項2】ストレプトミセス属に属し、イソロイシン代謝拮抗物質に耐性を示し、かつエバーメクチン生産能を有する微生物を培地に培養して培養物中に少なくともB1aを生産蓄積させ、当該培養物よりエバーメクチンB1aを採取することを特徴とするエバーメクチンB1aの製造法。
【請求項3】ストレプトミセス・アベルミチルスに属し、イソロイシン代謝拮抗物質に耐性を示し、かつエバーメクチン生産能を有する菌株。

出典:特許第2897834号公報

特許第2888586号はエバーメクチンを生産できる微生物そのものが保護対象です。

【請求項1】イソロイシンあるいはそのケト酸(3-メチル-2-オキソ吉草酸)を効率よくエバーメクチン骨格に取り込み、バリンあるいはそのケト酸(2-オキソイソ吉草酸)のエバーメクチン骨格への取り込みを著しく低下した、エバーメクチンa成分のみを蓄積することを特徴するエバーメクチンの特定成分を選択生産するためのストレプトミセス・アベルミチルスに属する微生物。

【請求項8】ストレプトミセス・アベルミチルスに属し、イソロイシンあるいはそのケト酸(3-メチル-2-オキソ吉草酸)を効率よくエバーメクチン骨格に取り込み、バリンあるいはそのケト酸(2-オキソイソ吉草酸)のエバーメクチン骨格への取り込みを著しく低下した、エバーメクチンa成分のみを蓄積する性質を有するストレプトミセス・アベルミチルスに属する微生物を培地で培養し、培養物中にエバーメクチンB1aを生産蓄積させ、当該培養物よりエバーメクチンB1aを採取することを特徴とするエバーメクチンの特定成分の選択的製造法。
【請求項9】ストレプトミセス・アベルミチルスに属し、イソロイシンあるいはそのケト酸(3-メチル-2-オキソ吉草酸)を効率よくエバーメクチン骨格に取り込み、バリンあるいはそのケト酸(2-オキソイソ吉草酸)のエバーメクチン骨格への取り込みを著しく低下した、エバーメクチンa成分のみを蓄積する性質を有するストレプトミセス・アベルミチルスに属する微生物を培地で培養し、培養物中にエバーメクチンB1a、B2aを生産蓄積させ、当該培養物よりエバーメクチンB1a、B2aを採取することを特徴とするエバーメクチンの特定成分の選択的製造法。

出典:特許第2888586号公報(独立請求項のみ抜粋)

まぁ中身はよくわからないけれど、これがノーベル賞になった大発明なのか、と噛みしめながら読むとなんとなくすごそうな感じがしてくるから不思議です。

大村智さんについては、馬場錬成さんによる伝記が出版されています。買いたかったのですがAmazonではすでに在庫なしの模様。世間の熱狂が覚めた頃に落ち着いて読んでみようと思います。

関連記事

ノーベル賞受賞の山中教授が取得した特許一覧

LINEで送る
Pocket