スポンサードリンク

群馬県太田市が美術館と図書館の複合施設の愛称を使用中止にしたとのことです。その理由としてすでに商標登録出願されていたことを挙げています。

 群馬県太田市は4日、東武太田駅北口に10月開館予定の文化複合施設「太田市美術館・図書館」の愛称「おおたBITO」の使用を中止することを決めた。
 「BITO」の商標が申請されていたことなどから取りやめる。当面は正式名称の「市美術館・図書館」を使う。

出典:「BITO」使用断念 佐野氏ロゴで注目、商標申請される  : 上毛新聞ニュース

「おおたBITO」と言えば、白紙撤回された東京五輪エンブレムを手掛けた佐野研二郎氏がデザインしたロゴについて、米国人デザイナーの作品に酷似しているとして問題となり、結局使用を中止する事態となっていました[1]

「BITO」の商標登録を調べてみると、1件の登録と1件の出願が見つかりました。登録商標は岐阜の花屋さんのものですが、指定役務は「花の飾り付け」などであり、あまり美術館や図書館と関係なさそうでした(第5718180号)。

で、もう1件の出願がベストライセンス株式会社です[2]

指定役務としても「図書」や「美術」に関するものが含まれているので、これが登録されると厳しい状況ですね。

45 自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する情報の提供,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する調査又は研究,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関する調査又は研究,新聞・放送・ニュースに関する情報の提供,新聞・放送・ニュースに関する調査又は研究,知的財産に関する情報の提供,知的財産に関する調査又は研究,エネルギー・燃料に関する情報の提供,エネルギー・燃料に関する調査又は研究,証券・金融に関する情報の提供,証券・金融に関する調査又は研究,書籍に関する情報の提供,書籍に関する調査又は研究,図書に関する情報の提供,図書に関する調査又は研究,美術に関する情報の提供,美術に関する調査又は研究

出典:商願2015-84840

報道によれば「おおたBITO」のロゴが発表されたのが2015年6月24日[3]。米国人デザイナーが提訴を検討と報じられたのが2015年8月20日[4]。これに対して商標登録出願が2015年9月2日ですから、すごい瞬発力です。

本来であれば太田市は発表前に商標登録出願をしておくべきでした。また、すでにこの愛称の使用を開始していれば情報提供等により商標登録を阻止することができたかもしれませんが、太田市美術館・図書館の開館は2016年10月ということですから、周知性を認めさせるのはちょっと難しいでしょう。出願人との間でどのような交渉があったのかわかりませんが、交渉不調ということであれば使用中止の決断は致し方ないように思います。

しかし、ベストライセンス株式会社こと上田育弘氏は何がしたいんでしょうか。ご本人がこの商標を使用した事業を行うことはこれまでの経緯を見れば考えにくいですが、太田市が使用中止にした以上ライセンス料等を要求することもできません。上田育弘氏にとっても何もメリットがないはずなんです。

ただの愉快犯だとしても、太田市も開館準備にそれなりの額の血税を投じてきたはずで、それが水泡と帰すのをただ笑って見ているだけだとすると、あまりにも酷い話です。

確かに法に触れることをしているわけではないんですが[5]、そろそろ何とかできないものでしょうか。

参考文献

1. おおたBITOロゴ:佐野氏デザイン、使用を断念 群馬・太田市の施設 – 毎日新聞
2. ベストライセンス株式会社について私が知っていること)。
3. 太田市:北口新文化施設、「おおたBITO」に 来年10月ごろ開館 /群馬 – 毎日新聞
4. 佐野研二郎氏の図書館ロゴ、アメリカ人デザイナーの作品とも酷似?「屈辱的だ」
5. 上田育弘さんを止める方法)。

追記(2016.5.31)

毎日新聞が少しだけこの件を報じていました。太田市は状況を把握していたものの残された時間が少なく断念したということのようです。このコメントだと出願人との交渉はしていなさそうですね。

 群馬県太田市は今年1月、12月にオープン予定の太田市美術館・図書館について、「美」と「図」からとった愛称「おおたBITO」の使用を断念した。市より先に商標登録が出願されていたからだ。「開館が迫るなか、特許庁による第三者の出願の却下処分まで待てない」(同市)と申請はせず、愛称を使わないことに決めた。

出典:商標登録:一個人が出願乱発 特許庁が注意喚起 – 毎日新聞

LINEで送る
Pocket