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2014年5月30日、厚木市のアパートで白骨化した幼児の遺体が発見された事件がありました。遺体は死後7年が経過しており、当時5歳だった男の子が衰弱死したものであることが判明しました。逮捕されたのは実の父親でした。2015年10月22日、父親には殺人罪で懲役19年の判決が下されました。

厚木市幼児餓死白骨化事件と呼ばれる事件です。

 5月30日、神奈川県厚木市にあるアパートの一室で、斎藤理玖(りく)くんの白骨遺体が発見された。遺体は身長1mほどで性別がわからないほど白骨化が進行。解剖の結果などから、理玖くんは5才だった2006年10月から2007年1月の間に衰弱死したとみられている。
 保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたのは、父親でトラック運転手の斎藤幸裕容疑者(36才)。2001年5月、斎藤容疑者は妻(32才)とともにこのアパートに転居し、直後に理玖くんが生まれた。
 しかし、2005年春ごろには斎藤容疑者によるDVを理由に母親が家を出た。理玖くんと2人暮らしになった斎藤容疑者は、直後に飲食店勤務の女性と交際を始め、ますます育児を放棄するようになる。
 最初は週5回ほどアパートに帰って1日2食分のコンビニ弁当などを与えていたが、亡くなる2か月ほど前から週1~2度しか帰宅しなくなった。外出する際は理玖くんが外に出られないよう玄関を施錠した。

出典:厚木白骨死体事件 5才男児が餓死するまでの凄惨な密室虐待│NEWSポストセブン

 神奈川県厚木市のアパートで昨年5月、死後7年経った斎藤理玖(りく)君(死亡当時5)の白骨化遺体が見つかった事件の裁判員裁判で、横浜地裁は22日、殺人などの罪に問われた父親の斎藤幸裕被告(37)に対し、懲役19年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。伊名波宏仁裁判長は「長男の生命をあまりに軽視し、栄養失調死させた残酷さは想像を絶する」と述べた。

出典:5歳男児放置死、父「育児がわからず」 懲役19年判決:朝日新聞デジタル

本書『ルポ 消えた子どもたち』は、虐待や貧困などにより、自らの意思に反して社会から姿を消してしまった子どもたちの実態を追ったNHKスペシャルを書籍化したものです。

※番組はNHKオンデマンドでも視聴できるようになっています。
NHKオンデマンド | NHKスペシャル 調査報告 “消えた”子どもたち-届かなかった「助けて」の声

「消えた子ども」には、家族と連絡が取れず居場所がわからない「居所不明児童」のみならず、親とは連絡が取れるものの児童本人の存在が確認できていないケースや住民票が抹消されて行政が存在を把握していないケースも含まれます。

NHKの調査では児童福祉関係などの施設1377ヶ所を対象にアンケート調査を行い、少なくとも10年間で1039人の消えたこどもがいたことが判明しています。その理由は様々で、虐待、貧困、親の精神疾患、親のDV避難などが挙げられています。一見すると少ないようにも思えますが、そもそも行政さえも存在を把握できていない子どもたちをしらみ潰しに当たった結果ですから、この結果は氷山の一角と考えるべきものです。まだ相当数の「消えた子ども」がこの国のどこかに存在するはずなのです。

本書では調査の結果判明したケースをいくつも紹介されていますが、最も紙幅を割いて紹介しているのは「博多事件」の被害者ナミ(仮名)さんのケースです。この事件は2005年に発覚した虐待事件です。当時の報道の一次ソースは見つかりませんでしたが、引用しているブログがありましたので、又引きさせていただきます。

娘を18年外出させず 傷害容疑逮捕の母 義務教育も放棄 福岡市

 福岡市博多区で十一月、二女(18)を殴ったとして博多署に傷害容疑で逮捕された母親(40)が、二女を産んでからほとんど外出させず、義務教育も受けさせていなかったことが六日分かった。福岡市教育委員会も月に一回程度、家庭訪問をしていながら、一度も二女に面会できずにいた。
 母親は「二女は発育不順で、外に出すのが恥ずかしかった」などと供述している。

 調べでは母親は十月二十八日、博多区内の自宅で二女がテレビを勝手に見たことに腹を立て、顔や背中を殴り十一日間のけがを負わせた疑い。二女がそのまま家を飛び出したため、母親は近くの交番に相談。二女は公園などで寝泊まりしていたが、空腹に耐え切れず十一月一日に通行人に助けを求め、同署に保護された。同署は同日、傷害容疑で母親を逮捕した。

 二女が「学校に行ったことがない」と話したため、母親から事情を聴いたところ、事実関係を認めたうえで「悩んでいたが相談相手がいなかった。養護学校などに相談すればよかった」と話したという。一家は夫と子ども三人の五人家族だったが、二女以外の子ども二人は独立し、当時は三人暮らし。母親は自分で漢字の読み書きなどを教えていたという。

 同署は保護責任者遺棄の疑いもあるとみて捜査したが、食事は与え、養育を放棄したとは言えないと判断。傷害容疑だけ立件し、母親は十一月二十二日に十万円の略式命令を受けた。
(西日本新聞) – 12月6日14時46分更新

出典:福岡の女性軟禁事件の話。 – PP3m

博多事件の被害者ナミさんは母親の元を逃走した後、女性保護施設を経て、トラウマ治療のために2年間精神科を転々とします。その後、一人暮らしを始めて仕事にも就きますが、突発的な体調不良や人間関係の問題が続き、仕事は長続きしませんでした。容体が落ち着き再度職探しをしようにも、義務教育も受けられず児童相談所で認定してもらった中卒の学歴しかなく、身元保証人もいない状態では採用には至りませんでした。

虐待や居所不明状態が辛いのは想像できますが、保護された後も延々と苦しめられているというのは、言われないとなかなか想像できないことです。本書では、保護後の生活に耐えられず自殺してしまうケースも紹介されています。

虐待だけでなく貧困による夜逃げや親の精神疾患など様々なケースがある実態がわかってきていますが、行政やNPO等の有志だけでは手が回るものではありません。現在では虐待が疑われる事案の通報先が多く用意されていますので、私たち一般市民にもできることはありそうです。

本書で紹介されている通報先を以下に挙げておきます。

  • 児童相談所相談全国共通ダイアル「189」(厚生労働省)
  • 24時間子供SOSダイアル「0570-0-78310」(文部科学省)
  • 匿名通報ダイアル「0120-924-839」(警察庁)
  • 子供の人権110番「0120-007-110」(法務省)

それぞれ管轄が違うので取り扱う事件が微妙に違うみたいです。縦割り行政のよくないところだと思います。基本的には「189」に相談するのがいいんじゃないかと思います。覚えやすいですから。

最近は特に虐待事件がニュース等で報じられることが多くなっているように思います。虐待の件数自体が増えているのか、明るみに出るケースが増えただけで昔から同じようにあったのかはわかりませんが、虐待に苦しむ子供たちが数多く存在することは間違いなく、市民一人一人ができることを少しづつやっていくしか解決への道はないのだろうと思います。

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